アルプスアルパインが車載向け「ミリ波センサー」で攻勢
アルプスアルパインが車載向けのミリ波センサー事業で攻勢を強める。安全や環境関連を成長分野と見定めており、足先の動きで車のドアなどを開閉するシステムや、子どもの置き去り検知システム向けに2022年度から製品投入を始める。25年度には同センサーをけん引役に、センサーを用いた車載関連の新規事業で300億円規模の売上高を創出したい考えだ。(江上佑美子)
アルプスアルパインはまずミリ波センサーを、車に足先をかざすことでドアやトランクを開閉する「キックセンサー」向けに提供する。並行して乗員の状態監視システムでの採用も決まった。同センサーで心拍数や挙動を把握し運転手の体調を管理したり、車内に置き去りになっている子どもを検知したりする機能を実現できる。
自動車の電動化の流れと相まってキックセンサーの普及は拡大する見込み。また欧州の安全性能総合評価「ユーロNCAP」が、22年に幼児の置き去り検知を評価項目に加えることを決めており、乗員の状態監視システムの伸びも期待できる。
同社は車室全体の快適性に役立つ製品を創出する「デジタルキャビン」事業を重点分野に掲げる。同事業ではセンサーが成長の鍵となる。デジタルキャビン関連などの新規案件で現時点で25年に1000億円程度の売り上げを見込んでおり、「その約3分の1がセンサー関連」(栗山年弘社長)だとしている。
同社は売上高の約7割を車載分野が占める。完成車メーカーにカーナビゲーションなどを供給するとともに、「センサーなどのデバイスを提供するティア2、ティア3としての事業比率を高める」(同)ことで、売上高増と採算性向上の両立を目指す。
栗山社長は「ニッチな分野を狙い差別化する」と説明する。そのためセンサー群の中でも、ミリ波センサーをコアと位置付けて成長を目指す。
日刊工業新聞2021年12月23日