カーナビ・オーディオ偏重から脱却、カーエレ各社が急ぐ構造改革の道筋

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自動車保険で採用されるJVCケンウッドのテレマティクス機能付きドライブレコーダー(イメージ)

カーエレクトロニクス各社が構造改革を急いでいる。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の流れをつかみ、成熟事業であるカーナビゲーションやカーオーディオ偏重の事業構造からの脱却を目指す。HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)などに関する知見を生かし、差別化を図る。(江上佑美子)

パイオニアはカーナビ事業の不振などで業績が悪化。2019年に香港ファンドの傘下に入り、上場を廃止した。20年に外部から就任した矢原史朗社長は、モノづくり偏重からサービス領域への事業シフトを掲げる。注力するのがHMI領域だ。自動車の機能が進化する一方で「車内の情報量が増え、運転手にストレスがかかっているのではないか」(矢原社長)と見る。

同社は“アイズフリー”“ハンズフリー”“ブレーンフリー”を製品開発のテーマに掲げ、声などで簡単に操作できる機器の開発を目指す。高島直人取締役常務執行役員は「従来のハードウエアは売り切りだったが、Wi―Fi(ワイファイ)などで常にアップグレードし、差別化を図れるようになる」と語る。

経費の見直しなどを進めた結果、同社の21年3月期の営業利益は86億円となり、2期連続で営業黒字を確保した。カーナビなど向けの地図事業を6月に売却し、経営資源をHMI領域に集中する方針だ。「再生ステージは終わり、成長ステージに入った」と矢原社長は強調。「25年には、再上場を目指すことができる経営状態にしたい」という。

アルプスアルパインはアルプス電気とアルパインが19年に経営統合し、発足した。「自動車業界が100年に一度の大変革期の中、国内外のメガサプライヤーに対抗する」(渡辺好勝執行役員)ため、HMIや通信などに関する両社の強みを生かせる分野として、車室全体をデジタル化するデジタルキャビン事業を成長戦略の中心に据える。車載デバイスなどの既存事業は固定費を抑え、デジタルキャビン事業に経営資源をシフトする方針だ。

JVCケンウッドは23年度までの中計で、車載用CD/DVD装置など成長性や収益性が低い「課題事業」の縮小・撤退を検討する一方で、テレマティクス(自動車向け通信サービス)事業の拡大を目指す。足元では損害保険会社が提供する自動車保険に付帯するテレマティクス機能付きドライブレコーダーの受注が好調に推移している。

日刊工業新聞2021年9月23日

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