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シール材メーカーがAIベンチャーと提携の狙い

シール材メーカーがAIベンチャーと提携の狙い

油圧シリンダーのパッキン交換時期を通知する装置

バルカーが、シールエンジニアリングサービスの強化に力を入れている。その一環で人工知能(AI)システム開発のベンチャーと提携した。バルカーが手がける設備保全のための振動センサーなどに、AIを組み合わせて新サービスを提供していく。今後は機能の向上やラインアップの拡充で新たな収益源に育て、シール材など製品単体の売り切り型から、ソリューション提供による事業拡大を目指す。 

バルカーが提携するのはRidge―i(リッジアイ、東京都千代田区)で、同社の既存株主から株式5%弱を取得した。両社はすでにバルカーの振動センサーを応用したプラントの配管向け予知保全システムの開発を進めている。2022年4月から石油化学プラントなど向けに販売する計画。バルカーの中澤剛太専務執行役員最高デジタル責任者(CDO)は「精度を高め船舶など適用範囲を広げる」と説明する。

バルカーはプラント設備の予知保全ニーズに応えようと、油圧シリンダーをモニタリングして油が漏れる前に交換時期を通知する装置などを展開してきた。一方、「データを基軸にした事業の効率化は、さらに重要になる」(瀧澤利一会長兼最高経営責任者=CEO)として、機能向上やラインアップの拡充を目指し、提携を決めた。

今後はバルカーが顧客から得た情報を活用した高精度システムの構築も検討。さらにリッジアイが持つ衛星画像の解析技術により上空からプラントの異常を把握するシステムの開発も視野に入れる。

設備の保全は少子高齢化に伴う労働力不足で現場の負担は増す一方だ。今回の取り組みは、製造業のAI活用推進の試金石となる。

日刊工業新聞2021年12月16日

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