防衛装備庁が対ドローン用レーザー兵器を開発する狙い
防衛装備庁は飛行ロボット(ドローン)を撃墜する車両搭載型の高出力レーザー兵器を2023年度までに開発する。レーザーはミサイルと違い、電力を確保すれば繰り返し射撃できるためコストを飛躍的に削減でき、抗たん性も高い。研究中の出力100キロワットのレーザーと別に10キロワットの小型レーザーを製作、陸上自衛隊の実車両に取り付けて実証実験を始めた。
ドローンを軍事目的で利用する事例が増えている。これに対応するため開発する。ミサイルは1発数百万―1億円近くするためコストでの問題のほか、ドローンを撃ち落とせても完全に防ぐことは難しい。
そこでレーザーを活用する。光速であるので、ドローンの素早い動きに対応できるほか、発射時の騒音や火炎もないため敵に発見されにくい長所もある。 車両搭載型の場合、小型化や軽量化に加え、車による移動や温度変化に対応できるかどうかが問題になる。出力のアップや、電源をどう確保するかなどを実証実験で解決する。
レーザーは宇宙兵器やサイバー、電磁波、人工知能(AI)などと並ぶゲームチェンジャー技術。陸上幕僚監部も「早期戦力化が待たれる」と期待する。
今回の開発で特に意識するのは中国の動き。有力なドローンメーカーがあるとともに、数百機の小型ドローンを同時に操縦するスウォーム攻撃技術力が高い。レーザーでこれに対抗する。
18年平昌五輪会場などの演出で、数百機のドローンを操縦し、照明デザインの形や大きさを自在に変える技術が話題になった。これを軍事目的で使えば“数の力”で防衛網をかいくぐり滑走路やレーダー施設を不能状態にできると予測される。
日刊工業新聞2021年12月15日