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「ジャポニカ学習帳」のショウワノートと「セレクト学習帳」の文運堂が協業の狙い

「ジャポニカ学習帳」のショウワノートと「セレクト学習帳」の文運堂が協業の狙い

ショウワノートHDの主力商品「ジャポニカ学習帳」

学習帳のライバルが協業―。中越パルプ工業は100%子会社、文運堂(東京都渋谷区)の文具事業の営業権をショウワノートホールディングス(HD)(富山県高岡市)に譲渡する。学習帳市場は少子化やデジタル変革(DX)から縮小傾向。人材交流を含む協業の手法などは両社で詰めるが、文運堂で半世紀以上の歴史を持つ「セレクト学習帳」の行方が注目される。紙需要の減退は教育現場でも鮮明になっており、中越パルプは事業転換を急ぐ。

中越パルプとショウワノートHDはともに高岡市に本社を置き、中越パルプはショウワノートに材料の紙製品を供給。ショウワノートに文運堂の文具事業の営業権、棚卸し資産を譲渡するが、中越パルプは「聖域を設けず協議し、2021年度中に具体的な協業内容を決める」(管理部)という。

中越パルプは印刷・情報用紙などの需要減に直面。コロナ影響による落ち込みからはやや持ち直し、21年度連結売上高は前年度比3・7%増の850億円、営業損益は16億円の黒字転換(前年度は3億円の赤字)を予想。25年度までの中期経営計画では営業利益40億円を目指し、家庭紙への参入や製品パルプ増産など事業構造を転換する。

中越パルプ工業子会社の文運堂が手がける「セレクト学習帳」

文具事業の営業権譲渡も「選択と集中による収益力強化」の一環。文運堂の文具事業は年商が約10億円で最盛期からは半減している。

注目されるのは、協業が営業権などにとどまるのかだ。1909年創業の文運堂は、学習帳では東京・関東圏の最古参。「白文帳」や方眼ノート、「セレクト学習帳」が知られる。ショウワノートは学習帳で後発ながら、植物などの写真をあしらい、百科事典とタイアップした「ジャポニカ学習帳」は市場でトップシェアを誇る。

中越パルプは68年に文運堂の経営に参画し、14年に100%子会社化した。文具譲渡後も、文運堂の洋紙販売事業などはそのまま。ショウワノートは封筒・伝票製造で1947年に創業。21年6月期のノート部門の売上高は約53億円。

日刊工業新聞2021年12月9日

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