段ボールオープナー、栓抜き…6つの機能を実現した技術とは
「Key-Quest(キークエスト)」は見た目もサイズも自宅の鍵のようだが、側面のぎざぎ ざはダンボールなどを開封する「カートンオープナー」、先端のくぼみは「糸切りおよびマイナ スドライバー」、上部の平面部分に空いた穴は「ナット回し」、そしてフックのような形の部分は 「栓抜き」と6 つの機能を備えた小さな「多機能ツール」だ。開発したのは打抜きのプレス加工 および金型の設計を手がける(株)ツカダ。2016 年の発売以来、5万本を売り上げたヒット商品だ。
モノづくりの面白さ・技術のカッコよさに出会える「グッドファクトリーショップ」開催!
【小さな習慣がアイデアの元】開発を進めたのは同社の塚田浩生社長。よくダンボールを開ける際、梱包のテープが切れずはさみも見当たらないときは自宅の鍵のギザギザ部分でテープを切っていたのがアイデアの元だ。糸切りやドライバーなどの機能を付け足しつつ、何度も図面を書き直した。
同社が工場を構える岐阜県関市は「刃物の町」として有名。同社も地場産業の刃物加工の中で、「プレス加工」を請け負ってきた。まわりにも長年刃物をつくってきた企業があり、商工会議所の青年部の仲間としての親交も厚い。刃の部分の強度を上げる熱処理や、全体のバレル研磨など、積極的に専門企業の協力を仰いだ。
また、設計上もさまざまな工夫を施した。たとえば先端の「糸切り」は靴下のタグを切る際などに便利だろうと特に塚田社長が特に気に入った機能だ。
持ち歩いてもらうためにどんな形で手が触れてもけがをしないよう、設計しなければならない。しかし先端の刃物部分は小指も入らない幅の狭く奥まっている。試行錯誤の末金型部品を加工するエンドミルで削り、刃付けをほどこした。ちなみに銃刀法違反にならぬよう、何度も警察署に出向き、意見をもらったという。
【父の思いを形に】塚田社長を新製品に開発に踏み切らせたのは父であり先代社長の塚田紘太郎氏がよく生前口にしていた「自社製品をつくらないとダメだ」という言葉だ。その後、第2 弾の自社製品開発にも成功している。 「今後の開発はもう少し、社内の若手社員を巻き込んだプロジェクトにして、人材教育にも役立てたいですね」(塚田社長)。
商品情報
シリーズ名:OSUO
商品名:Key-Quest
用途:6 in 1 鍵型マルチ ツール
サイズ:62mm×23mm
価格(税込):2,800円
シリーズ名:OSUO
商品名:KEEP SMART
用途:極薄スマート名刺入れ
サイズ:93mm×57mm
価格(税込):3,000円
販売サイトURL:http://osuo.jp/
会社概要
株式会社 ツカダ Tsukada所在:岐阜県関市小瀬554-1
従業員:18名
主な製造品:刃物用部品、水栓関連部品、建築金物部品、FA用部品、自動車関連部品、半導体関連部品など
「刃物の町」岐阜県関市に工場を構える、プレス加工メーカー。プレス加工は、金属の板に対して「抜き(切断)」「曲げ」「絞り(押し込んで筒状にする)」の3種類の加工を、プレス機械と製品ごとに設計した「金型」を使い行う。いかに複雑で高品質な部品を成形できるかは、各社の「金型」の設計・製造技術にかかっている。同社は特に「抜き(切断)」を得意とし、加工できる板の厚さは0.1mm~8mm。また加工できる材料もステンレス、真鍮、鉄、樹脂、CFRP(樹脂を炭素繊維組み合わせた素材)など幅広く、同社の金型設計技術の高さが表れている。
ポップアップストア情報
日本のモノづくり企業の技術と知恵、センスとギミックが詰め込まれた、「グッド」なmade in 工場の製品を紹介するショップ「グッドファクトリーショップ」にて、実物を見て、触って、購入できます!
「グッドファクトリーショップ at 渋谷」
日程:2022年1月21日(金) 、22日(土) 10:00~20:00
場所:渋谷 道玄坂 hotel koe(東京都渋谷区宇田川町3−7)
入場料:無料
「グッドファクトリーショップ at 東京ビッグサイト」
日程:2022年3月9日(水)~ 12日(土)10:00~17:00
場所:東京ビッグサイト(国際展示場)(東京都江東区有明3-11-1)
入場料:事前登録制 来場登録はこちらから(2022年1月下旬から来場登録受付開始)