高音質の決め手は「マグネシウム」 スマートフォン用無電源スピーカー
「バイオン-Mg 60」(以下バイオン)はマグネシウム製のスマートフォン用無電源スピーカーだ。使用方法は上部に空いた長方形の穴にスマートフォンを差し込み、音楽再生するだけ。 マグネシウムの持つ高い振動吸収性とそれを最大限に生かす設計で、鮮明な音が響く。
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【マグネシウムへの挑戦】バイオンの開発・製造を手がけたのは、マグネシウム合金の引抜き加工を始めさまざまな加工を行う(株)マクルウ。同社の設立は2010 年。安倍雅史社長がそれまで操業していた鉄の引抜き加工メーカーを譲渡し、立ち上げたベンチャー企業だ。
創業当初はマグネシウム加工技術の開発を進めていたが次第に安倍信貴常務取締役を中心に盲導犬のハーネスや、高齢者用の杖などの、マグネシウムの軽さに着目した製品開発の話がふえ、順調に業績を伸ばしてきた。
そんな中アナログレコード用ターンテーブルの一部品である「トーンアームパイプ」をマグネシウムでつくって欲しい、という注文が舞い込んだ。ディスクに落とす針を支える細いパイプのことで、振動吸収性が高いマグネシウムで製造すれば高音質が期待できるという。「軽い」以外の新たなマグネシウムの特性を再認識した安倍常務はこれを機会に音に関連した製品をつくってみようと思いついた。
アイデアをめぐらせるうち、頭に浮かんだのは「iBamboo」と呼ばれる製品だ。切り出した竹筒の上部にアイフォンを差し込む穴が空いており、音楽を再生すると竹筒の中で音が反響し、大きく聞こえるというシンプルな無電源スピーカーだ。あの形で材料にマグネシウムを使用すればさらに良い音が出るのではないか、と安倍常務は考えた。
2016 年12 月にクラウドファンディングに挑戦、2 カ月で目標達成率420%、276 人の支援者から210 万円の資金調達に成功。しかし苦労したのは構造の見直しだった。スピーカーとなる筒を長くし、板厚を太くすればそれだけ重厚で大きな音が響く。しかし、無電源スピーカーの利点は「どこでも使える」ところ。持ち運びのできる軽さで、なおかつ質のよい音が出る、という「ちょうどよさ」を見極めるのに苦労した。試作を重ねる過程で正面に穴を2 個所空けるとより音が響くことも発見した。
2017 年6 月には通販サイトを通じて一般への販売も開始した。フィリップモリス(Marlboro)のキャンペーンの景品や富士宮市の「ふるさと納税」の返礼品などにも採用され少しずつ認知されてきている。今後はさらなる海外販路拡大を目指す。
商品情報
シリーズ名:バイオン-Mg60商品名:バイオン-Mg60
用途:スマートフォン用無電源スピーカー
サイズ(mm):W360×D60×H63
価格(税込):9,680円
販売サイトURL:マグネシウム製品&マグネシウム素材専門サイト「マグネヤ」(マクルウ運営)
企業紹介
株式会社マクルウ MACRW所在:静岡県富士宮市山本286-1
従業員数:7名
主な製造品:福祉機器・ドローンなどの関連部品、マグネシウム合金パイプなどの冷間引抜き及びパイプ曲げ・溶接など各種二次加工、マグネシウム合金製製品の企画・製作など
マグネシウム合金の冷間引き、曲げ加工、溶接などが得意技術。マグネシウムは、「実用金属」(モノづくりに使われる金属)の中でも最も軽い金属。1円玉にも使用されるアルミニウムの三分の二程度の重さしかなく、比強度はほかの金属よりも上。「軽くて頑丈な」製品を作るのに最適な素材となる。しかし、反面マグネシウムの加工は難しく、同社のように複数の加工を1社内でこなせるメーカーは少ない。現在、軽さと頑強さ両方が必要とされる「ドローン」や、競技用車いすのパイプ(パラリンピックなどでも使用)の製造を手掛け注目を集めている。
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日程:2022年1月21日(金) 、22日(土) 10:00~20:00
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