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国内初、PCR検査ができる水素バスの実証が始まった

国内初、PCR検査ができる水素バスの実証が始まった

水素燃料電池大型バス。各種検証試験を重ね、今年度内のシステム確立を目指す(筑波大提供)

筑波大学は、水素燃料電池バスを用いた防災・感染症対策システムの実証実験を始めた。感染症対策システムを備えた「災害医療用モビリティ」を用いて、自然災害と感染症流行の多重災害発生時に、被災地域の避難所などで感染症の拡大を抑制できる体制を整備する。実証には既に完成した大型バスと年内に完成予定のマイクロバスの両方を使う。各種検証試験を重ね、2021年度末に同システムの確立を目指す。

完成した大型バスは自立的電源・通信機能に加え、感染症の各種検査装置を備える。PCR検査の結果は検体採取から約40分でその場で判明する。バス1台で1日2000人以上の検査能力を持つ。水素燃料電池バスでPCR検査ができるのは国内で初めてという。

実証実験は大型バス検証試験、マイクロバス検証試験、大型とマイクロバス併用実証実験の3段階で行う。検証試験では医療用機器の稼働に影響を与えない電源品質の確保や、適切な検査機器の選定、災害時の混乱した状況下でもミスを誘発しにくい検査導線やレイアウト設計を行い、効率的な検査が行えるかを確認する。併用実証実験は茨城県内の避難所などで行う計画。

内閣府の大型支援事業「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の課題の一つに「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」があり、今回の実証実験はこの課題で採択された事業の一つ。21年度単年度の事業として行われる。

日刊工業新聞2021年10月29日

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