舌や歯で入力する“マウス”、筑波大が開発【動画あり】
筑波大学大学院の堀江航太大学院生と廣川暢一助教、鈴木健嗣教授らは口にくわえてロボットを操作するデバイスを開発した。くわえたデバイスの動きや、舌によるジョイスティック操作で6自由度の入力が可能。手がふさがった状態でもマウスの代わりになる。外科手術における医療機器の操作や、寝たきりでも対話ロボットを遠隔操作して社会参画するといった用途での活用を目指す。
開発したデバイスは長さ10・5センチメートル、重さ約20・1グラムの棒型で口にくわえる。デバイスの一端はジョイスティックになっており、舌で縦と横、押し込み方向の3自由度の入力ができる。外の部分は慣性計測装置(IMU)で縦と横、回転の3自由度で入力可能。遠隔操作ロボットを操縦する場合、口腔(こうくう)内の3自由度で前後左右上下の移動、口腔外の3自由度でロボットの頭の向きを操作できる。
さらにIMUの波形から「かみ」を検出できる。加速度の大きさから「かみ」を判定し、マウスのクリックに相当する入力を可能にした。
インターフェースの操作性を測定する「SUS」と呼ばれる手法で評価したところ、遠隔ロボットの操作性は60点台だった。70点台のマウスに比べて劣るが、実用性はあると判断した。
外科手術や精密組み立て作業など両手がふさがった状態で、カメラや支持アームなどを操作したい場面向けに提案する。視線や音声による入力インターフェースはジョイスティックのような連続的な入力が難しい。
一方、舌で操作するデバイスは連続的な入力に向いているが、これまで多自由度化は難しかった。
日刊工業新聞2021年7月9日