美容・健康立県を目指す佐賀県の「コスメティック構想」とは?
佐賀県が県内の唐津市や玄海町、および官民連携組織のジャパン・コスメティックセンター(JCC、唐津市)などと、美容と健康に関する産業の集積を目指す佐賀県コスメティック構想が加速している。2021年は3件が進出協定を結んだ。県と佐賀大学は、化粧品業界のキーパーソンを招聘(しょうへい)。8月に化粧品科学講座を開催し共同研究を呼びかけた。11月から関連するスタートアップの伴走支援も計画。同構想の充実に拍車がかかる。(九州中央・勝谷聡)
コスメティック構想は産業集積を目指すだけではない。「蓄積した専門的な知見やネットワークを生かして事業者支援も行う」(同構想推進室)。県によると13年の同構想立ち上げから21年までの約8年間で進出企業は12社。かんきつ類など地元産原材料を活用した約120件の関連商品が生まれ、フランスや台湾などと35件の国際取引があった。
21年はパッケージ、リサイクルなどサプライチェーンを支える企業の県内進出が続く。1月に唐津市と進出協定を結んだ本州印刷(大阪府東大阪市)は約18億円を投じて2階建ての新工場を建設する。陣野公司社長は「化粧品などのパッケージ印刷や箱詰めなどセットアップ事業について環境配慮型資材を用いて取り組む」と力を込める。22年10月に操業し、27年までに約60人を雇用。27年12月期40億円の売り上げを目指す。
2月は香水・化粧品のOEM(相手先ブランド)生産事業などを手がけるルズ(東京都品川区)が唐津市と進出協定を結んだ。5600万円を投資して空き倉庫を改修した製造拠点を新設する。国内外での需要増に対応するという。天田徹社長は「コロナなどの影響で操業は22年2月を予定」と話す。
7月には、Beautycle(ビューティクル、佐賀県神埼市)が神埼市と進出協定を結んだ。化粧品などのプラスチック容器をペレット加工するなど再生事業に取り組む。
県は8月に化粧品関連の先端技術の研究分野で数多くの実績がある元城西大学薬学部教授の徳留嘉寛氏をJCCに招いた。徳留氏は佐賀大特任教授に就任。県は佐賀大と連携しながら共同研究や人材育成に乗り出す。北村志帆コスメティック構想推進室室長は「今後も、集積に向けてネットワークを広げ認知度を高めていく」と話す。