川崎重工がコングロマリット経営で描きたい成長シナリオ

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川崎重工業社長 橋本康彦氏

川崎重工業が他社との協業を見据えて、柔軟性を持たせたコングロマリット(複合企業)経営を進めている。4月に船舶海洋とエネルギー・環境プラントの両事業を統合し、10月には2輪車などのモーターサイクル&エンジン事業と鉄道車両事業を分社するほか、日立造船とシールドマシン事業の共同出資会社を設立する予定だ。グループの事業ポートフォリオを見直し、成長シナリオを明確化する。

今回、二つの事業の分社で共通するのが、自律的な事業展開だ。川重にとって2輪車は唯一の消費者向け事業であり、需要を取り込むためには迅速な経営判断が求められる。環境負荷の低減に向けた電動化やハイブリッド化の開発を加速し、成長に弾みを付け「カワサキブランドをけん引する」(橋本康彦社長)役割を果たす。

鉄道車両をめぐっては新型コロナウイルスの感染拡大が受注環境に影響を与えているものの、中長期的に混雑を緩和する都市交通やアジア地域での鉄道網の整備が見込まれる。分社により、こうした案件を取り込むとともに北米拠点の生産性向上を目指す。

両事業とも当初は完全子会社としてスタートするが、分社により機動性を高めるとともに「外部資本を受け入れやすくする」(同)狙いもある。他社との関係強化も進みそうだ。

一方、船舶海洋とエネルギー・環境プラントの両事業統合では、経営資源を集中できる体制を整えた。液化水素運搬船や水素の貯蔵タンクなどを手がけており、渡辺達也専務執行役員は「(統合後の)新カンパニーは水素分野でのシナジーを創出する」と強調する。

川重は以前から収益構造の改善が指摘されていた。足元でもコロナ禍の影響で主力の航空宇宙システム事業の業績が悪化、回復に時間がかかる見込みで、収益源の確保が課題だ。三井E&S造船(東京都中央区)との船舶修繕事業を終了し、原子力事業をアトックス(東京都港区)に譲渡する一方で、分社や新会社設立など本格的に再編に取り組んでいる。一連の取り組みにより成長への布石を打った格好で、今後は着実に成果を上げていくことが求められる。

日刊工業新聞2021年9月6日

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