自社開発の3Dプリンター利用促す。TKRが設けた「公開試作室」というアイデア
TKR(東京都大田区、太田聡社長)は、自社開発の3Dプリンター「SPACE ART(スペースアート)」を設置した公開試作室「マチファブ」(東京都大田区)の普及に取り組んでいる。高速で精密な造形が可能で初回は無料で造形できる。2019年に開設し、大学教授らが自身が研究した構造などを具現化する際に利用している。ベンチャー企業にも開発拠点としての利用を促している。
マチファブには形状記憶ができる模型や入れ歯、血液分析用マイクロ流路などさまざまな分野の試作品がずらりと並ぶ。電子回路の描画もできるため多連レンズを搭載した薄型発光ダイオード(LED)照明もある。研究機関やベンチャー企業の依頼で「SPACE ART」で製作した。
光硬化樹脂で積層する独自のスキャン方式により、直径約2センチメートルの網状ボールであれば他社製品で約1時間かかるところを約5分で造形する。消費税抜きの価格は1台300万円。マチファブの活用で16台を販売した。
機器販売のみだったが、利用の広がりを受け受託造形も本格展開する。大嶋英司シェアビジネス事業部3Dプリンター開発部長は「当社の技術力は高い。ベンチャー企業などが独創的なアイデアを実現する足がかりになれば」と話す。
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日刊工業新聞2021年8月24日