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バーチャルで花火大会。「夏らしさ」デジタル技術で疑似体験

技術で“夏らしさ”を体験―。コロナ下での2度目の夏。新型コロナウイルス感染急拡大に歯止めがかからず、帰省が困難な状況やイベントが中止になるなど夏を満喫できない環境下にある。そんな中、大手小売りが顧客に夏を感じてもらう環境を提供している。デジタル技術の活用などにより、家族や友人との交流や夏の風物詩を疑似体験できる取り組みで、夏の思い出づくりに一役買っている。(編集委員・大友裕登)

イオンモール、バーチャル花火大会

270インチの大型サイネージ(電子看板)に映し出された花火大会。イオンモール幕張新都心(千葉市美浜区)で行われている「バーチャル花火大会」は、毎時00分と30分に始まる。コンピューターグラフィックス(CG)動画と過去の花火大会の動画を各5分程度、連続で放映。夏の風物詩である花火大会の迫力ある映像に、通行していた来店客もしばし足を止め、鑑賞していた。

同イベントは幕張新都心をはじめ全国の44店舗で実施、開催日時は店舗で異なる。企画したイオンモールは「このイベントを通じて、夏らしさを感じ、楽しんでいただき、前向きな気持ちになっていただければいい」としている。

三越伊勢丹、VR上でギフト選び

新型コロナの感染が全国的に広がり、今夏の帰省を諦めた人も多くいただろう。三越伊勢丹は、帰省ができない中で贈り物をしたいニーズに対応し、バーチャル空間でのオンラインギフトショップを展開している。

三越伊勢丹が提供する仮想現実(VR)を活用したスマートフォン用アプリケーション(応用ソフト)「REV WORLDS(レヴ ワールズ)」。ここにある仮想伊勢丹新宿店に、既存のオンラインギフトショップ「ムードマーク バイ イセタン」を登場させた。チャット機能を通じて、アバター(分身)同士で相談をしながらギフトを選べる。

チャットで会話しながらギフトを選ぶ(三越伊勢丹)

コロナ下で人との接触が敬遠される中、VR上で家族や友人と会話を楽しみながらギフト選びができ、一緒に買い物をしているような体験にもなる。

異例の夏が2年も続いた訳だが、行動に制限がある中でも顧客に楽しんでもらおうと、知恵を絞っている。

日刊工業新聞2021年8月20日

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