コロナウイルスを抑制。NECが空港・イベント会場向け「深紫外線装置」開発
手荷物・床面照射―ウイルス不活化
NECは、深紫外線(UV―C)を照射して、新型コロナなどのウイルスの活動を抑制する装置として、手荷物用と床面用の2種類を開発した。深紫外線には、ウイルスや細菌が持つ細胞核(DNA/RNA)を破壊し、不活化する効果があることがさまざまな大学や研究機関で評価され、空気清浄機での活用が進んでいる。NECは空気中のウイルス抑制ではなく、空港やイベント会場、競技場などの荷物検査に着目した。2021年度中の製品投入を目指す。
手荷物用の深紫外線照射装置は、荷物を専用トレーに乗せて、ローラーコンベヤー上を流れる際に、深紫外線を前後左右から照射してウイルスの活動を抑制する。既存のコンベヤーレーン上への設置やX線金属探知機との併設も可能。NECによると、「荷物を対象とした深紫外線照射装置は他にはない」という。
もう一つの床面用は手に持って自由に移動しながら深紫外線を照射して、床面に付着したウイルスの活動を抑制できる。持ち手のバーを手前に倒すことで照射し、前後方向へ操作することで照射箇所を自由に移動できる。
これら深紫外線照射装置は理化学研究所の研究成果を活用。新国立競技場のイベントで運用実証した実績がある。
コロナ対策を体感 NECが展示施設
深紫外線照射装置は、NEC本社1階の体感・共創型の展示施設「NEC・フューチャー・クリエイション・ハブ」で参考展示している。顔認証や人工知能(AI)などの先進技術が体感できる同施設は19年2月の開設以来、来場者は1万2000人を超える。コロナ禍で一時、閉館していたが、このほど改装オープンした。
改装後の展示では、深紫外線照射装置などコロナ禍を意識した製品・ソリューションを多数配置。約1800平方メートルの施設フロアには観光や物流、空港、工場などの多様な利用シーンとともに、マスク装着での顔認証や非接触系の製品・ソリューションが並ぶ。
マスク装着したままでも顔認証できる技術は、コロナ禍を象徴する。NECのソリューションは独自の深層学習を利用して、10年以上の加齢による経年変化でも高精度で顔認証できる。
展示ブースでは、あらかじめ10数年前の写真を登録しておき、マスクやサングラスを装着したままでも本人確認できることを実証。更新期間が10年のパスポートであっても、マスクを装着したままパスポートとの照合で本人確認できることをアピールする。