ニュースイッチ

中小企業もサイバー攻撃に備えよ。保険料最大5割程度引きで加入できる新保険の仕組み

あいおいニッセイ同和損害保険が、加入時の「事前対策」をパッケージ化した中小企業向けの新たなサイバー保険を9月に投入する。顧客の保険加入前に、コニカミノルタジャパンなど提携企業が脆弱(ぜいじゃく)性診断やセキュリティー対策を実施。実施した対策レベルに応じてリスクを算定し、保険料を最大5割程度割り引く。対策と保険をパッケージにする仕組みでサイバー攻撃への中小企業の対応力を高める。

コニカミノルタジャパンのほか、システムの脆弱性などを診断するセキュアスカイ・テクノロジー(東京都千代田区)、ITシステムに関するコンサルティングを提供するプロフェッショナル・ネットワーク・コンサルティング(同)の3社と提携した。

保険加入に先立ち、これらの提携企業が中小企業のホームページや電子商取引(EC)サイトの脆弱性などを診断するリポートを作成。個社ごとのセキュリティー対策の水準に照らし、ウイルス対策ソフトやサイバー攻撃を検知・防御する統合脅威管理(UTM)機器の導入支援などを実行する。

あいおいニッセイは、契約企業のセキュリティー対策レベルが高ければ、相応に事故リスクの低減が期待できる。提携企業によるサービスの導入は有償となるが、保険料を最大で5割程度割引くことで保険料負担を軽減し、価格面での訴求力も確保する。売上高10億円の食料品製造業者で提携先の複数サービスを導入し、一般的な補償額とした場合、保険料は年間30万円程度になる。

あいおいニッセイは2015年9月にサイバー保険を発売、約4000件の保有契約がある。今後は新規営業を進めると同時に、約4000件の既契約は更改時などに事前対策を強化したサイバー保険を提案する。

セキュリティー対策は複層的に講じることが重要なため、提携先の拡充も予定。データのバックアップや端末のログ管理に優れた企業との提携を検討しており、提供可能なソリューションを順次追加する方針だ。

多発するサイバー攻撃を背景に、海外の保険会社では保険引受利益が赤字となる事例も出ている。あいおいニッセイの仕組みは、加入企業数が1割以下と指摘されるサイバー保険の普及と、持続可能な商品供給を両立できる可能性がある。

日刊工業新聞2021年7月29日

編集部のおすすめ