発売迫る「ハチロク」と「BRZ」に乗ってみた!異なる個性と共通点
トヨタ自動車とSUBARU(スバル)は、共同開発した小型スポーツ車「GR86(ハチロク)」「BRZ」のプロトタイプの試乗会を報道陣向けに開催した。9年ぶりに全面改良した2代目は、エンジンやプラットフォーム(車台)は共通化したが、最終仕上げに当たる「乗り味」では独自性を強く打ち出した。記者が試乗した。(国広伽奈子)
7月13日、新型ハチロク/BRZの試作車が並ぶ千葉県袖ケ浦市内のサーキット場。記者はペーパードライバーで運転は数年ぶり。緊張しながら試乗会に参加した。
両車種の自動変速機(AT)車で、長さ約2・4キロメートルのサーキットを3周した。最初に乗車したBRZは、加速の滑らかさやカーブの安定性に安心感を覚えた。一方のハチロクは、アクセルやステアリングの応答性が高く、キビキビと動く印象。試乗前は“ど素人”の記者が、違いを感じられるのか気がかりだっただけに、分かりやすい違いに驚いた。
両車種はエンジン特性や足回り、車体結合に関し11項目で違いがある。独自の乗り味を出す上で特に効いたのが、フロントバネとリアバネの設定。BRZは両バネのばね定数値を近くして安定性を高めた。対してハチロクは、同ばね定数値の差を比較的大きくとって、操作性を確保しながも、全体的に動きが出るようにした。
両車種は共通するエンジンのパワーを高めたほか、車体剛性を向上させた。スバル商品企画本部の井上正彦プロジェクトゼネラルマネージャーは、両車種を「体重を変えず筋力をつけたアスリート」と表し、「高まった運動能力をどのように使うかで乗り味が分かれた」と解説する。
「スバルのエンジニアにもハチロクに共感してもらえた」とはトヨタ自動車ガズーレーシングカンパニーGRプロジェクト推進部の末沢泰謙GRZチーフエンジニア。両車種は“違う”車に仕上がったが、異なる個性の魅力に自信を示す。
19年に相互出資に踏み切り協力関係を深めた両社にとって、共同開発車をそれぞれのブランドから投入する際、独自性をどう確保するかは重要課題の一つ。新型BRZは夏、新型ハチロクは秋の発売予定。スポーツ車ファンは違いをどう評価するか。