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尼崎の中小企業が製造。妖怪プラモデル「鬼」に込めた思い

尼崎の中小企業が製造。妖怪プラモデル「鬼」に込めた思い

プラモデルの完成品(左)と組み立て前のパーツ

中野製作所(兵庫県尼崎市、戸井昌弘社長)など尼崎市内中心の中小企業ら6者で構成するグループが、妖怪プラモデル「鬼」の製造に取り組んでいる。福崎町観光協会(同福崎町)から受託し、7月末に販売予定だ。妖怪プラモデルは第3弾となり、従来は中国で製造されていたが、今回が初の国産品。コロナ禍で海外生産が難しいと判断され、尼崎城のシャチホコのプラモデルで実績を持つ同グループに依頼された。

福崎町は民俗学者・柳田国男の生まれ故郷で、同氏が研究した妖怪をまちづくりのテーマで引き継ぐ。町内17カ所に設置する「妖怪ベンチ」や「全国妖怪造形コンテスト」などの企画や関連グッズも展開。プラモデル製造もこうした取り組みの一つで、「妖怪のまち」としての認知度をさらに高める狙いだ。

プラモデルの製造に取り組む事業者グループは、3D(3次元)データ制作のほか、金型設計・製作、射出成形、印刷、梱包(こんぽう)と専門分野が異なる6者で構成され、金型設計以外の5者が尼崎市内の事業者。今回のプラモデルはそれぞれが得意分野で力を発揮、一つの工場のように機能させ商品化につなげた。

コーディネートは、尼崎地域産業活性化機構から派遣された綱本武雄氏(手しごと舎 種代表)が担った。初回の生産数は5000セット、消費税込みの価格は1980円。現在、同協会や通信販売サイトで予約を受け付けている。

原型モデルが土俵入りだけに、体の線や横綱の結び目などの表現は金型がカギとなる。製作した甲斐精密(尼崎市)の甲斐将登工場長は「プラモデルは本業ではなく、試行錯誤しながら加工を繰り返した」と振り返る。

福崎町観光協会の利根川智子氏は、今回のプラモデルについて「デジタルデータ活用で品質は格段に向上した。塗装や化粧まわしのデザインなど楽しんでほしい」としている。

日刊工業新聞2021年7月19日

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