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北大が氷河の流動を海底地震計で検出。気候変動の解明につながるか

北海道大学北極域研究センターのエヴゲニ・ポドリスキ助教らの研究グループは、海底地震計を使って氷河の流動を検出することに成功した。観測した震動源の分からない小さな揺れである地震波ノイズの時間変化から氷河の流動変化を推定できることを示した。氷河から海に流入する氷や解け水のモニタリングが可能となり、気候変動の解明に役立つと期待される。

氷河流動を観測することで、海面水位の上昇を高精度に予測できる。だが、氷河の末端付近は機器設置が困難な上、氷の破壊や強風による影響を受けるため、氷河流動の測定は難しかった。

研究グループは氷河によって発生する未知の地震波に着目。グリーンランドのボードイン氷河で、氷河末端付近の海底に海底地震計を、氷河上に陸上型の地震計と全地球測位システム(GPS)受信機を設置した。

観測の結果、氷河の流動変化をはっきり示すような地震波は認められなかった。そこで地震波ノイズと氷河の流動速度を比較した。その結果、海底の地震波ノイズ振幅の時間変化と流動速度の間に高い相関が認められた。これにより、地震波ノイズは氷河がすべる時に生じる微動であることが分かった。

同様の微動は日本などのプレート沈み込み帯でも発生している。そのため、今回の知見はプレート境界でのすべり現象の理解にもつながる可能性がある。

日刊工業新聞2021年7月19日

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