元素周期表に“ずれ”があった!ドブ二ウムに予想と異なる性質

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元素周期表(2021年6月現在、原子力機構提供)

日本原子力研究開発機構は元素周期表の極限領域にあり、核融合反応により人工的に得られる「超重元素」のドブニウムが周期表の予想とは異なる化学的性質を持っていることを発見した。今回、純粋なドブニウム化合物の合成・分離に初めて成功し、周期表から予想される金属的性質を失っていることを示した。研究成果により周期表全体の理解につながるとともに、理論化学計算の高精度化への貢献が期待される。

元素周期表は元素の性質が一定の周期性で変化する周期律に沿って元素が並んでいる。周期表の原子番号が大きくなるにつれ、電子軌道が影響を受ける「相対論効果」により、その化学的性質が周期表の予想からずれる可能性が以前から指摘されていた。だが、原子番号104番以降の超重元素は合成が困難で、寿命も数十秒などと短いため、これまで実証ができなかった。

原子力機構の研究チームは、105番元素のドブニウムを原子力機構のタンデム加速器で合成。独自に開発した気相化学分離装置で塩素や酸素と反応させてドブニウムのオキシ塩化物を合成、分離した。同様にドブニウムと同じ周期表第5族元素のニオブ、タンタルのオキシ塩化物を合成し、これらの揮発性を比較した。

その結果、ドブニウムの揮発性は周期表の予想より高く、電子を放出しやすいという金属的性質が薄まっていることが分かった。相対論効果により化学結合が変化しているためと考えられる。分子の揮発性は複数の要素が関係し、理論計算による予想が難しい。そのため、今回の研究は理論計算の向上を図る上で重要な知見となる。

日刊工業新聞2021年7月12日

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