「モノづくりのソフトバンクグループ」。スタートアップを積極支援する菊池製作所の戦略
菊池製作所(東京都八王子市、菊池功社長)は、自動車や家電向けの試作品・金型づくりを手がける製造業。一方でロボットなどモノづくり系スタートアップの積極支援でも知られる。「目指す姿は小さいながらも『モノづくりのソフトバンクグループ』」と語る菊池社長に話を聞いた。
―モノづくり系スタートアップに出資をしています。
「千葉大学発スタートアップで飛行ロボット(ドローン)開発を手がける自律制御システム研究所(ACSL)を2013年に共同創業して以降、アシストスーツ製造のイノフィスなど19社に出資してきた。試作づくりや開発、マーケティングの協力だけなら120社に上る」
―出資を通じた協業が自社の業績にも寄与しています。
「以前、試作品より高い利益率が見込める自社商品の開発を試みたが、当時は思うように新規性を打ち出せなかった。打開策として独自のアイデアを持つ大学教授と協業を開始し、後のスタートアップ支援につながった。ロボットの共同開発などを通じ、ゼロからモノを生み出すノウハウを学べるのは当社にとってプラスだ。20年4月期のロボット関連売上高は約8億円で、2年連続で伸びた。イノフィス製品の販売増に加え、出資先の技術を生かしたロボット関連製品や受託生産が好調だ」
―今後の目標は。
「モノづくりスタートアップが成功するロールモデルを確立するのが私の目標。18年に上場を果たしたACSLのような事例が増えれば、日本のモノづくりのあり方も変わっていくはずだ」(山田邦和)
チェックポイント/HD制の採用も一案
菊池社長はロボット以外のモノづくり系スタートアップの支援にも意欲的。例えば新型電動2輪などの分野を想定しているようだ。ただしこのまま出資先が増えるなら、自社組織のあり方も見直す必要がありそうだ。
ソフトバンクグループのようなホールディングス制を採用するのも一案だろう。