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電池の要らない装着型ロボットが登場。要介護者の持ち上げが簡単に

東京理科大発ベンチャーが来年春に試験販売へ
 イノフィス(東京都新宿区)は、電源など動力源の要らない装着型ロボット「マッスルスーツ」を開発した。重さは4キログラムと軽いが、最大25キログラム重の力で荷物を持ち上げる力を支援する。装着型ロボは電池などの装備品が重く、またエネルギーを再充填する手間が課題だった。介護や物流などの現場で、要介護者や荷物を持ち上げる際の腰の負担を減らす。2016年春に試験販売を始める。

 同社は東京理科大発ベンチャー。腰補助用マッスルスーツで動力源のないタイプを開発した。

 荷物を持ち上げようとかがむと、背中に配した人工筋肉が伸びて空気圧エネルギーを蓄える。この力を持ち上げる際に利用する。かがむ際は上半身の体重を利用するため、作業者は持ち上げ時の補助効果のみを感じる。

 人工筋肉は軽く、人間の体にフィットした力が出せる。人工筋肉に200キロパスカルの空気圧を充填した場合、腰を90度に曲げたときの補助力が25キログラム重。角度や空気圧は作業者自身で調整できる。金属バネを利用すると重くなってしまう。エネルギーを再充填する手間が減り、メンテナンスも簡便になった。

 介護施設で高齢者を抱きかかえたり、物流倉庫で積み荷を移したりする重作業の補助に提案する。イノフィスは産業革新機構や菊池製作所が出資するロボットベンチャー。技術開発部長を務める小林宏東京理科大教授の研究成果の事業化を進めている。

日刊工業新聞2015年11月25日1面
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
装着型ロボットは身につけやすさも利用拡大の大きな要素になる。加えて介護施設は中小事業者が多い。機能をそぎ落とした安価で単純な機器でなければ、導入に弾みがつかない。制限された状況でどれだけの効果を出せるか、大学の知による解決策に期待したい。

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