ソフトバンク・au・ドコモが抱える携帯販売の課題。問われる健全性と収益の両立

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携帯販売店はブランド維持と収益源の多様化が求められる

携帯通信サービスの販売について、多様な課題が浮上している。総務省の有識者会議「消費者保護ルールの在り方に関する検討会」の論点整理案では、通信事業者が販売代理店に高額な契約の獲得を強く求めている事例が改めて指摘された。通信各社は消費者保護に努力してきた面もあるが、より健全な販売のあり方を追求しつつ、収益の確保もできるか試される。(編集委員・斎藤弘和)

「(携帯通信会社の)ブランドイメージを傷つけないといった一定の合理的な制約を前提に、(代理店での)独自商材の取り扱いは許容されてもよいのではないか」―。同検討会の論点整理案に盛り込まれた一文だ。

この背景を「地域の情報通信技術(ICT)拠点として販売代理店の活用が期待されており、役割を果たすためには創意工夫が尊重されることが望ましい」と説明。オンラインによる行政手続きの方法を店舗で高齢者に教えるといった活用事例が想定されている。

ただ、販売代理店の収益源多様化が急務という事情も見逃せない。携帯通信各社は、オンラインで手続きを受け付ける料金プランを相次いで投入。コロナ禍で人との接触を減らす動きもあり、対面による契約の比率は減少が見込まれている。

そうした中で総務省は、通信事業者が販売代理店に高額なプランの獲得を強く促している例を問題視。「(販売店の)評価基準が法令違反を助長しうるような形で設定されている場合は、業務改善命令の対象となりえる」とクギを刺した。

今後は通信事業者が販売手数料体系を見直すとともに、代理店に“自立”を促す手段として、独自商材の取り扱い制限を緩和する動きが出てきそうだ。代理店大手のコネクシオは、スマートフォンの基本操作講座や生活に役立つ動画などを提供する有料会員サービス「ネクシィプラス」を展開しているが、こうした例が業界全体で増える可能性がある。

一方、総務省は通信事業者による消費者保護の方策を評価する姿勢も見せた。その一つが、5G通信が可能なエリアの訴求方法だ。現在、4G向けの周波数帯を転用した5Gサービスが可能になっている。だが、その通信速度は4Gと同等のため、消費者の優良誤認を招く恐れがあるとの指摘があった。これを受けて各社は、5G用の新周波数のエリアと、4Gから転用された周波数によるエリアを分けて示す地図を作製。有識者会議の論点整理案では「取り組みを適切に進めている」とされた。

通信各社はこうした地道な努力を積み重ね、まっとうに販売を伸ばせるかが問われ続ける。

日刊工業新聞2021年5月31日

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