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三菱ケミカル子会社、ウオーターサーバー事業参入の勝算

三菱ケミカル子会社、ウオーターサーバー事業参入の勝算

世田谷区第2庁舎に設置された大型タイプのウオーターサーバー

三菱ケミカル・クリンスイ(東京都品川区、木下博之社長)は、職場や家庭、外出先で手軽に冷水や温水を飲めるウオーターサーバー事業に2022年度に参入する。ペットボトルの消費削減や脱プラスチックに向け、マイボトルを持つ人が増え、需要が拡大すると判断した。自社の浄水器の技術を生かし、水の味の違いや、水の宅配と比べた環境負荷の低さで差別化する。

浄水器メーカーがウオーターサーバー事業を行うのは初めてとなる。飲食店や不特定多数の利用を想定した大型の業務用タイプと、職場や家庭向けの小型タイプを展開する。21年度に300台前後のテストマーケティングを実施し、事業計画の詳細を詰める。既存サービスに対し競争力のある料金設定とする。

三菱ケミカル・クリンスイのウオーターサーバーは水道管に直結させ、浄水器と同じ中空糸膜で水道水を濾過する。塩素を除去し、ミネラル分を残した水の“おいしさ”が特徴。他社の大型業務用ウオーターサーバーは、逆浸透膜でミネラル分も除去してしまっていた。また職場・家庭向けに大型プラボトル入りの水を宅配する既存サービスに比べ、プラ使用や輸送エネルギーの環境負荷を減らせる。

大型タイプを20年秋に先行導入した世田谷区の第2庁舎では、月に約1300リットルを使用している。容量500ミリリットルのペットボトル換算で2600本となり、間接的にプラ削減に寄与した。

また、給水場所の情報を提供するスマートフォン用アプリ「mymizu(マイミズ)」と連携。同アプリでのウオーターサーバーの設置場所の表示や、ペットボトルの消費量削減に向けた共同キャンペーンなどを行う。

日刊工業新聞2021年5月31日

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