宇宙政策の将来像が明らかに。情報収集衛星や惑星探査など目白押し
政府の宇宙政策委員会は26日、国の宇宙開発計画実施方針「宇宙基本計画工程表」の改訂に向けた重要事項をまとめた。複数の人工衛星を打ち上げ連携して運用する「衛星コンステレーション」の構築やカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向けた取り組みを盛り込んだ。将来を見据えた宇宙政策にするため、産学・科学技術の基盤を強化する必要がある。
安全保障の確保では準天頂衛星システムや情報収集衛星の整備、サイバーセキュリティー対策の推進を盛り込む。小型衛星の増加などの宇宙空間の混雑化によるリスク回避も強化する。
災害対策では、地球観測衛星などで広域・大規模災害を含めた発災後の地上を撮影し、数時間以内の迅速な被災状況を把握できる体制を構築する。次期気象衛星の整備・運用を含めて、災害対応に貢献するとした。
2050年のカーボンニュートラルに向けた観測ミッションの策定・推進や、宇宙太陽光発電の実用化に向けた取り組みを進める。
宇宙でのデジタル変革(DX)を推進するには衛星通信を充実させる必要がある。そのため小型衛星コンステレーション構築に向けて官民連携で技術開発を強化する。さらに通信の基盤技術となる量子暗号通信やデジタル化の研究開発を進める。
惑星探査は、火星衛星探査計画「MMX」の促進や、月面活動を視野に入れながら国際宇宙探査計画「アルテミス計画」の技術開発を進めるとした。
日刊工業新聞2021年5月27日