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三菱製紙が不妊治療分野を本格開拓、印刷用紙の技術生かす

三菱製紙が不妊治療分野を本格開拓、印刷用紙の技術生かす

胚・卵子のガラス化凍結保存用の閉鎖型

三菱製紙は、体外受精など不妊治療分野を本格開拓する。胚・卵子の凍結保存用デバイス「ディアムール」について、製品化した閉鎖型タイプを軸に拡販する。凍結時の細菌の感染リスクを抑えつつ、従来持つ開放型タイプ並みの使いやすさを実現。胚の搭載や固定を容易にするオプションの治具と併せ、高度な手技が求められる医療関係者に訴求する。地道な提案活動で、日本ではなじみが薄い閉鎖型の普及を推進する。

三菱製紙は、インクジェット印刷用紙などで培った吸収技術を生かし、液分量の高度な調節が必要な凍結保存用デバイスを手がける。今春投入した閉鎖型と、2019年に投入した開放型はともに市場参考価格が1本2000円程度。両タイプの合計で年1万5000本の販売を目指し、将来的には数億円の事業に育てる考えだ。

体外受精などでは受精卵を「超急速ガラス化保存法」で凍結保存することが多く、同デバイスは安全性と作業性を高める。受精卵をガラス化液に移し替える際、胚周辺の液は最小限にする必要があり、デバイスのうち胚を載せる部分に液の吸収体を設けた。余分な液による氷晶化など治療へのダメージを防ぐ。

開放型は冷却に用いる液体窒素との接触による感染リスクがあるが、キャップをするシンプルさが特徴。閉鎖型は米国などで一般的ながら、工程が多くて煩雑などとされて日本ではなじみが薄い。

同社は閉鎖型で、スライド式キャッピング方式で開放型と同等の使用感を実現。本体の操作をオプションの載置具、固定具との連携でより容易にした。

ディアムールは北里大学獣医学部と共同開発した。アイテムを拡充しながら、複数の医療関係者をモニターに閉鎖型の実証試験を進めていく。

日刊工業新聞2021年5月18日

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