ミスミが受注生産サービス「メヴィー」を全面刷新。大量のCADデータを一度にアップ可能に
ミスミグループ本社は、機械や設備の自動化に必要な部品を短期で受注生産するデジタルサービス「meviy(メヴィー)」について、2021年度を「進化の1年」と位置付け、機能強化を急ぐ。約1年半かけてシステムを全面刷新し、最新のアーキテクチャーに変更した。14日には刷新後初となるバージョンアップを実施。大量のCADデータを一度にアップロードすることが可能になる。21年度は件数ベースで前年比2倍以上の機能追加を予定する。(川口拓洋)
システムを全面刷新することでアプリ開発・保守効率が約4倍に向上。サイトレスポンスも約15倍になった。吉田光伸常務執行役員は「サービスの進化がしやすくなった。今年は予定しているものだけでも相当な機能追加を行う」と意気込む。
メヴィーは16年からシステムの増築を繰り返しており、機能の変更や追加に時間がかかる状態になっていた。既存サービスを継続しながら新システムを構築し、切り替えた。
14日にはメヴィーのうち、板金部品や切削プレートを提供する「FAメカニカル部品」のユーザーインターフェースと機能を拡張する。従来は一つずつドラッグ・アンド・ドロップする必要があったCADデータをリストで表示し、大量のデータを一括してアップロードできるようにした。吉田常務執行役員は「処理するサーバー側の能力が必要になるが、システムの全面刷新により可用性も大幅に強化した」と語る。
メヴィーの利用者数は21年3月末で5万5000人に到達。データアップロード点数も500万点を超えた。新型コロナウイルス感染症拡大を受け、デジタルツールで業務を効率化する風潮が社会全体に広がったことに加え、メヴィーの実績や信頼性が積み重なってきたことも成長の要因とみる。「お客さまの数と単価と利用回数を伸ばしたい。そのために、商品の納期短縮や材質・加工範囲の拡大など顧客の要望をベースに開発を加速する」と吉田常務執行役員は話す。
顧客のニーズに合わせてメヴィー事業の「選択と集中」も実施した。これまでメヴィーではFAメカニカル部品と金型部品、ラピッドプロトタイピング(試作)の3種類を展開していたが、金型に関するサービスを3月に終了。今後は特にFAに資源を投入する。
拡大する利用者に対応するため、内製工場の増強やパートナーとの連携強化も加速。「納期は決まっている。必要な投資を実施する」(吉田常務執行役員)方針だ。部品調達時間の「最大9割削減」を売りとするメヴィー。残り1割分についても削減に向けた取り組みを着々と進めている。