コロナ禍の新たな選択肢に!設計者の部品調達・購買業務をサポートするプラットフォーム

雑誌『機械設計』2月号特集 必読!設計手法と支援ツールの最新トレンド

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部品を選定・調達する際、設計者はどのように情報収集を行い、どのように発注して目的物を入手しているだろうか。近隣の町工場、昔からの付き合いのあるメーカーなど慣れた業者が一番楽に、信頼して発注できるという意見は根強い。だがしかし、時間・コスト面を考えた場合、そこへの発注が果たして本当に適正と言えるのか?また新型コロナウイルスの影響で設計・開発担当者も在宅勤務が見込まれる中、調達・購買業務を運営プラットフォームからサポートする4 社に現状や動向、課題などを聞く。

設計者に寄り添った細かい仕様で新人育成まで

ミスミグループ本社 meviy

ミスミグループ本社が展開する設計者向け部品調達支援サービス「meviy(メヴィー)」は、「AI自動見積もり」、「デジタルものづくり」という2 つの機能を搭載。設計データのアップロードのみでAIが即時に見積もりを出し、最短即日での出荷を実現する。従来要した2 次元図面の作図作業や相見積もりなどの時間やコストを大幅に削減でき、図面作図から製造までの時間は従来の1/10まで縮められる。2020年12月末時点で、ユーザー数は5万人を突破した。

「国内製造業には構造的課題が山積する」と話すのは、meviy事業をけん引する同社ID 企業体社長の吉田光伸常務。製造業でいまだに残りがちな紙至上主義に加え、人手不足や働き方改革での時間的制約などで苦難を強いられ、厳しい経営状況に追い込まれるケースは後を絶たない。自動化、ロボット化なども取り入れられる中、調達現場は紙図面が使われ続けている点に着目し、meviyが開発された。

現在、ミスミのカタログ・EC事業における取扱いメーカー数は3000社以上あり、商品点数は3100万点以上。サイズのバリエーションを含めた総製品数は800垓(1兆の800億倍)と、世界最大級の品揃えを誇る。「無限大の商品に対応する」とした意味を込めたロゴ“∞”に示すとおり、meviyの特徴の一つは、きめ細かく設定できる生産技術要件にある。例えば曲げと穴の間の距離が短いなど、画面上ではできても現実には加工できない形状への注意喚起なども行う(図1)。

図1 加工不能な形状指定に対し、注意喚起を知らせるmeviy

「顧客からの意見、要望は細かなものからすべて吸い上げ、開発会議で反映を試みる」と話すように、穴や寸法といった「属性情報」の位置を簡単に移動できる機能、2 次元の図面をボタン1つで生成する機能、ユーザー同士でDropboxのように情報共有できる機能などは顧客の要望から追加された。「難しそう、使う自信がない、などと思わず気軽に試してほしい。困っている製造業、特に設計者の方々。電話1本で、導入手段など幅広く相談に応じている。サポート体制も万全。労働生産性の向上など、皆さまがかかえている課題解決に貢献させてほしい」(吉田常務)。

相見積もり省略から業界構造を改革

キャディ CADDi

「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」―。金属加工品の受発注プラットフォーム「CADDi」を展開するキャディは、自社のミッションをこのように掲げる。同社は2017 年11 月に創業し、丸3 年を迎えたばかり。同プラットフォームは、発注する設計者が図面データをアップロードもしくは送付すれば、同社独自開発のシステムによって最適な加工会社に選定・発注し、製品化まで済んでしまうというものだ(図2)。

図2 CADDiのビジネスモデルイメージ

CADDiの最大の特徴は、装置一式丸ごと、数千点の加工部品を最適発注し品質保証をしたうえで納品できるという点だ。設計者・購買担当者が同社へ図面を送ると、独自開発の「自動製造原価計算システム」で見積もりを自動計算し価格が提示。その価格で発注が決まると、「パートナー」と呼ばれる協力加工会社から最適なところを選定し、同社から加工依頼を行う。発注者は相見積もりで何社も相談するという手間を省ける。加工し製品が完成すると、同社の物流拠点で一度検品し、梱包したうえで出荷となる。こうした管理体制から2018年、ISO9001を取得した。

「日本のお家芸とも言えるモノづくりの業界の仕組みを根本から変えていきたい」(ブランドコミュニケーション部浅野麻妃さん)とし、同社は業界の“バリ取り”に励む。

日本の技術者「世界に遅れ」、BIM から普及

キャデナス eCATALOGsolutions

キャデナス・ウェブ・ツー・キャドは2007年、3次元データ配信サービスを行っていたウェブ・ツー・キャドジャパンと、CADの電子カタログを制作していた独キャデナスの提携によって誕生した。

現在の主力事業に位置付けるeCATALOGsolutionsでは、ポータルサイト「PARTcommunity」や部品メーカーの自社サイト経由で、設計者向けにCADデータの配信のサービスを行っている。サイト内にあるCADデータはすべて、エンジニアが自由にダウンロードして自身のCAD設計データ内に呼び込み、そのままほかの部品と組み合わせるなどの活用が可能だ。活用されたデータの元部品は高確率で購入につながる。

国内での現状は厳しい。新型コロナウイルス感染拡大の影響から在宅勤務者が増加し、世界的に利用者が急増したが、日本の産業が変化を好まず、図面作成や購買などの工程で新たな手法を取り入れたがらないため、利用者は依然として伸び悩む。「日本企業の体質や根強いハンコ文化なども原因にあるのだろうが、このままでは“モノづくり大国”が廃る。認知拡大と導入支援を強化せねば」と、村田靖彦社長は使命感に燃える。

打開策は、建築・建設業界で導入の進むBIMだ。BIMは設計から受注、下請け、孫請けまでが図面などの設計データをリアルタイムで共有する業界の情報共有プラットフォームだ。ここ数年で開発、導入が進み、「BLCJ」という業界団体も発足した。BLCJと連携し、業界大手から全体に普及を画策する(図3)。

図3 eCATALOGsolutionsをBIM業界向けにも開始

eCATALOGsolutionsは現在、時間経過による動きをシミュレーションできる仕組みの構築を進める。村田社長は「社内の在庫管理に役立つPARTsolutionsというもう一つのサービスも、海外では導入が盛んだ。これは部品の社内管理状況を可視化・効率化するサービスだ。eCATALOGsolutionsの国内認知度を上げてこちらも勧めたい」と話す。

人とシステム分業で、射出成形を最短1日提供

プロトラブズ

試作、小ロット品の受託製造を行うプロトラブズは、米ミネソタ州に本拠地を置き世界8カ国にサービス展開する。日本法人はアジア拠点として2009年から事業を開始し、プラスチック射出成形や切削加工を中心として、デジタル活用での部品試作、小ロット生産の受託製造を手がけている。

最大の特徴は、「短納期製作」だ。設計者が発注すると、同社サービスでは最短1日での出荷が実現する。同社サイト内の「自動解析付き見積り」上に3次元CADデータをアップすると、平均3時間程度で見積もりのメール回答を受け取れる。メールは無料で、確定金額の見積もりとともに抜き勾配や肉厚、樹脂流動性、反り解析といった製造性についても記載される(図4)。「前後の工程都合による急ぎの案件がある場合や、納期内で納得できるまで試作を繰り返したい場合はぜひ任せてほしい」。

図4 設計課題を可視化できるプロトラブズの無料見積もり

2018年からは、ミスミグループ本社が運営するプラットフォーム「meviy」の「ラピッドプロトタイプ」という試作品製造サービスにも組み込まれている。ユーザー目線で試作品開発から生産までを1つのプラットフォームでまとめることにより、設計者や生産技術者の業務効率向上を実現。

今井社長は「認知度を拡大させていきたい」とし、サービスを体験利用できるサイトも設けた。「アップロードするデータは、大まかな形状や大きさがわかれば粗くても大丈夫。当社のサービスは見積もりだけなら無料で、製造性の確認や設計図だけでは不都合な点があればカスタマーサポート窓口でオンライン相談も可能。前工程で遅れた分の“緊急”の依頼もかまわないが、生まれた時間を有効活用し、良いモノづくりに還元してほしい」。

雑誌紹介

雑誌名:機械設計2021年2月号
 判型:B5判
 税込み価格:1,540円

販売サイト

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 Rakutenブックス
 日刊工業新聞ブックストア

内容紹介

機械設計 2021年2月号  Vol.65 No.2 【特集】必読! 設計手法と支援ツールの最新トレンド

市場ニーズに合った競争力をもつ新製品や難解な自動化を要する製造設備が求められている昨今、設計部署ではより効果的・効率的に構想設計から詳細設計、製作まで進めなければなりません。ITによるDX、働き方改革、リモートワークなどの設計環境・体制の変化も求められている中で、最近の設計手法や支援ツールの動向を把握し、新たに取り入れることは現状を打破するうえで効果的です。
 そこで本特集では、設計者が今知っておくべきトピックスをピックアップし、それらの現状と導入・活用するうえでのポイント、効果や課題、今後の方向性などを紹介します。

臨時増刊号も好評発売中!

書名
 雑誌『機械設計』3月臨時増刊号
 主要 機械要素の選定・活用ガイド2021

販売サイト

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 日刊工業新聞ブックストア

雑誌紹介
 機械はさまざまな機械要素から構成されています。仕様を実現するために、各種機械要素の機能・性能を理解し、適切に選択することは、機械設計者にとって極めて重要です。機械要素の知識を持たないと、よい機械が設計できないといっても過言ではありません。
 本ガイドでは、各種機械要素の基礎から選定・計算方法、設計・活用ポイント、技術動向、製品動向などを紹介します。

日刊工業新聞社 機械設計編集部

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