3月の実質賃金は前年同月比0.5%増だが「回復と見ていない」
厚生労働省がまとめた3月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比0・5%増だった。2カ月連続のプラスだが、比較的に賃金水準が低いパートタイム労働者の雇用比率が同0・59ポイント低下したことなどが影響。同省はコロナ禍からの「回復とはみていない」という。
現金給与総額(名目賃金)は、同0・2%増の28万2164円。前年同月比プラスは13カ月ぶり。所定内給与は同0・8%増の24万5691円。残業代を中心とする所定外給与は同6・2%減の1万8113円だった。
ただ、現金給与総額を就業形態別にみると一般労働者が同0・3%減、パート労働者も同0・8%減で実態はともにマイナス。一方、常用雇用指数は一般労働者が同1・7%増だが、パートは同1・1%減。この比率の変化が1人当たり平均の名目賃金を押し上げる要因となった。
1人平均の総実労働時間は、一般労働者が同0・5%増の164・3時間、パートタイム労働者は同2・1%減の78・3時間。製造業の所定外労働時間は前月比3・3%増(季節調整値)だった。
日刊工業新聞2021年5月10日