顎骨の特徴を5秒で抽出する「骨格異常治療向けプログラム」の仕組み
日本ユニシス・エクセリューションズ(UEL、東京都江東区、宮本素立社長)は、3次元(3D)計測データの特徴を捉えるための指標となる点(特徴点)を人工知能(AI)で自動推定するプログラムを開発した。採寸や位置合わせに使う特徴点の位置を人手をかけずに5―6秒で正確に抽出できる。まず人の顎の骨格データに適用し、骨格異常の治療向けに2022年の商品化を目指す。
3D計測データを自動検査や採寸に活用する上では、特徴点を得ることが重要になる。ただ、計測誤差や計測基準位置の違いなどにより、手動で特徴点を決めるのは難しく手間がかかる。
自動推定プログラムは、AI技術の深層学習(ディープラーニング)と、計測データのポリゴン形状処理技術を組み合わせた。3D計測データを入力するだけで特徴点を自動で抽出し、座標値を出力する。3D計測データにAIを適用するのは業界初という。
UELのポリゴンデータ編集ソフトウエア「ポリゴナルマイスター」の新機能として実装。大阪大学との共同研究に基づき顎骨格に適用した。頭の骨全体の特徴点を検出する場合、従来は知識・経験のある技師でも30分程度を要していた。同プログラムを顎骨格の形状に適用することで、5―6秒で眉間やこめかみなどの特徴点を表示可能。座標値をCSV形式で出力し他のシステムと連携できる。
顎の異常骨格の治療方針決定や手術機材補助具の製作、術後の骨格シミュレーションでの活用を見込む。将来は顎骨格以外の対象物への適用を目指し、オーダー服・靴製作の自動採寸や工業製品の自動検査への活用も視野に入れる。
日刊工業新聞2021年4月19日