投資額は195億円、山陽特殊製鋼のボトルネック解消工事の理由

  • 0
  • 0
圧延設備の状態を確認する社員(山陽特殊製鋼提供)

山陽特殊製鋼は特殊鋼鋼材を作る主力の第二棒線工場(兵庫県姫路市)でボトルネック解消工事を実施した。投資額は195億円。約1年半かけて複数の設備を更新し、1月に工事が完了した。同工場責任者で、今回の工事を取り仕切った条鋼製造部の西村信己部長に、その背景や設備を動かすオペレーターが工事に参画した理由などを聞いた。(村上授)

―第二棒線工場で手がける製品と工程を教えて下さい。

「特殊鋼は主原料の鉄スクラップを溶解して高品質な特殊鋼の塊を作った状態で製品サイズに圧延し、需要家のニーズに応じてピーリングや熱処理をして出荷する。第二棒線工場では特殊鋼を加熱した後、製品サイズに圧延して切断する工程を担っている」

―ボトルネック解消工事の理由は。

「自動車の燃費向上に向けた部品の小型化や軽量化で、素材となる特殊鋼製品も以前と比べ小径化のニーズが高まっている。また、自動車以外の分野でもジャストインタイムの考えが浸透し、短納期・小ロット対応が求められる。これらに応えるには圧延機の段取り替えが今まで以上に必要なため、特殊鋼製造の中で同工場がボトルネックだった」

―圧延機や加熱炉の新設や冷却切断ラインを増設しましたが、工事中は止めないモノづくりを心がけました。

「製造を止めても工事に4―5カ月かかり会社として成り立たなくなるので、いかに止めずにするかを考えた。加熱炉については、元々道路だった所に建屋を増設し、新たな加熱炉を置いた。切り替え時に10日だけ止めた」

―今回の工事では設備を操作するオペレーター(操作者)が意見を述べるなど積極的に参加しています。

「垂直立ち上げする際にロスのない生産ができるようにし、操作者の使い勝手が悪くならないようにした。操作者が会議に参加して意見することは過去に例はあったが、今回のように多く参画したのは例がない。実際に操作者たちが『自分たちで使うんだ』という愛着を持ってくれている意識になっている」

―今後、取り組みたいことは何ですか。 「圧延工程の後にある表面処理といった二次加工のボトルネックをなくしていきたい」

ポイント/トラブル解決通じ成長

長年の課題だった工場のボトルネック。解消工事によって棒鋼製品の生産能力は月7万9000トンと、以前より1割増えた。数年がかりのプロジェクトで設備を増設・刷新した今回の取り組み。圧延した鋼材が高速で流れる連結ラインのため、「それぞれの設備が同じ歩調でモノづくりしないといけない」と西村部長。そういう意味でも「みんなと一緒に取り組み、トラブルを解決していった過程を通じ成長できたのはよかった」と振り返る。

日刊工業新聞2021年4月1日

関連する記事はこちら

特集