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自動車部品の表面処理を手がける中小企業。あえて既存工場近くに新工場を建設した狙い

BCPと生産効率向上に貢献
自動車部品の表面処理を手がける中小企業。あえて既存工場近くに新工場を建設した狙い

新設した名古屋第1工場

日本コーティングセンター(JCC、神奈川県座間市、千葉祐二社長)は、物理気相成長(PVD)などのプラズマ技術を得意とし、自動車部品や工具の表面処理を手がける。2021年3月に愛知県岩倉市の新工場を稼働した。既存の一宮工場(愛知県一宮市)が手狭になったことと、事業継続計画(BCP)対応が工場新設の大きな理由だ。西日本地域の主力工場と位置づけ、東日本地域を担う本社工場(神奈川県座間市)や佐野工場(栃木県佐野市)が災害などに見舞われた際は、代替生産で供給責任を果たせるようにする。

新工場の名称は名古屋第1工場。完成に合わせ、一宮工場を名古屋第2工場に変更した。第1、第2工場一体で西日本地域の需要をまかなう。

名古屋第1工場敷地面積は約9000平方メートル。建物は約1800平方メートルの平屋建てで第2工場から約1キロの近隣に位置する。これまで第2工場にあった物理気相成長(PVD)コーティング装置3台を移したほか、窒化装置や測定装置を新規に導入した。

まずは自動車関連向けの工具類や金型の表面被膜処理を手がける。同時に、これまで本社工場のみで行っていた大型プレス部品用金型のPVDコーティングや、半導体関連の金型の被膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)処理なども受注する。木村裕二取締役営業本部長は「東日本と同じことをできるようにし、有事に備えたい」としている。

名古屋第1工場が立地する中京圏をはじめ、西日本地域は自動車産業が盛んで、供給責任は重い。既存の工場の近くに新工場建設を決めた理由の一つに、第1、第2工場でトラブル発生時の融通が利きやすいこともある。

第1工場は、需要の拡大に応じて新棟を建設することも視野に入れる。西日本地域の主力工場として「他工場のトラブル時や、ライン改変の際に第1工場で生産を受け持つことでBCPや生産効率向上に貢献できれば」(木村取締役)と期待する。

日刊工業新聞2021年4月15日

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