CEO就任をカラオケに例えた日本電産社長「私もかなりうまい」

永守氏「自分の持つ株の価値を上げてくれるのは関潤だ」

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握手する関次期CEO(左)と永守会長(20年2月)

日本電産は、創業者の永守重信会長(76)が最高経営責任者(CEO)を6月に退任する。永守氏は代表権のある会長にとどまり、CEOは関潤社長が引き継ぐ。6月同社にとって最大の経営課題とされた永守氏の後継問題が一段落することになる。永守氏は1973年に日本電産を創業。強烈な個性と積極的なM&A(買収・合併)で同社を1兆円企業に育て上げた。

22日のオンライン会見で永守氏は「私は創業者であり筆頭株主であり代表取締役会長。筆頭株主である私が、自分の持つ株の価値を上げてくれるのは関潤だと評価し、決定した」と関社長を後継に据えた理由を語った。関社長は「私の方が馬力がある。決まった路線は私が担い流動的に動くべきことは会長と私で決め、30年10兆円(の連結売上高目標)に向けて進めていく」と意気込みを示した。

永守会長からの権限移譲は、関社長やグループ会社社長に段階的に実行していく。関社長は各事業の結果責任を担い、業績確保に注力。一方永守会長は、生産性を改善し3年後に社員の平均賃金を30%上げる計画を実行するためのデジタル変革(DX)や人事評価制度、役員報酬の改定などに取り組むとしている。中長期的な戦略など重要事項については従来通り二人三脚で取り組む。

「後継者問題がどうなっているかと株主から問われ、全力を挙げてきた」(永守会長)というように、同社では永守会長の後継者選びが喫緊の課題となっていた。18年6月には日産自動車出身の吉本浩之副社長が社長に昇格。永守氏のワンマン体制から集団指導体制へ舵を切ったが、期待通り機能せずに断念。そこで同じく日産自動車出身の関氏を永守氏が口説き落とし、社長に抜擢。20年4月からツートップ体制で経営を推し進めてきた。

永守氏は会長であり最大の株主でもある。そのため当面は事実上のトップであり続けると見られ、「私が元気で現役でやれる段階に後継者をちゃんと育成もするし、独自の新しい経営手法を実行してもらって、この会社が私がやってきたよりももっと良い会社に変わっていくことを願う」と話す。

永守氏は「売上高10兆円といってるが、重要なのは企業価値。つまり時価総額だ。売上高が1兆でも時価総額が10兆円になったほうがいい。逆はいけない」と力説した。

―CEO交代の背景は。

永守氏 車載やモビリティー分野などに当社グループのビジネスポートフォリオが大きく転換している。組織をできるだけシンプルにして、創業以来の即断即決の経営を維持する。関社長と1年、一緒に仕事をしてきたが、経営手法が私に似ている。人格も含めCEOにふさわしいと考えた。私より17歳若い関CEOが世界を飛び回り、日本電産の企業価値を上げてくれるだろう。

―二人の役割分担はどう変わりますか。

永守氏 現在もかなりの業務を関社長がやってくれているが、本当にCEOになるには就任後の決断の積み重ねが必要。(CEOとして関社長を)育成しつつ、徐々に権限を渡していく。

―CEO就任の心境は。

関氏 カラオケで上手な人が歌ったすぐ後に出ていく心境だが、実は私もかなりうまいので聞いてほしいとも思っている。2030年に売上高10兆円の目標を会長と二人三脚で達成するためにこの会社に来た。年齢的に馬力がある私がオーガニックな成長部分は全てやり、目標達成のためにプラスアルファが必要な部分は会長と分担して動いていく。

日刊工業新聞2021年4月23日

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