中小企業の「事業再構築補助金」に申請殺到。問われる経産省の伴走力
効果を発揮するかは未知数な部分も
経済産業省が15日に申請受け付けを始めた「事業再構築補助金」への問い合わせ・申し込みが予想以上の広がりを見せている。ポストコロナに対応するため、企業に思い切った事業転換を促す施策には巨額の予算が組まれた。ただ、審査や採択を経て、実際に支援がどれだけの効果を発揮するかは未知数な部分も残る。
事業再構築補助金はコロナ禍で売り上げが減少した中堅・中小企業や個人事業主が業態転換や新分野展開など、既存事業からの脱却を支援する施策として打ち立てた。経産省の事業としては破格の1兆1485億円を計上し、2021年度に4回程度の公募を予定している。
現在の受け付け状況について20日の閣議後会見で梶山弘志経産相は「まとまった形でお知らせしたい」と述べたが、ある経産省関係者は「こちらの想定を超えている」と打ち明ける。補助金の狙いについて梶山経産相は「グリーン化、デジタル化、ヘルスケア、強靱(きょうじん)化など日本の課題が浮き彫りになった」として、中長期的な展望が見えない中小企業の事業転換を促す。
今回の申請には再構築に向けた計画を金融機関や税理士などの専門家と具体的に策定する必要がある。経産省が示す活用イメージには、飲食店によるテークアウト販売の実施や需要が低下した航空機部品から医療機器部品の製造への移行など間口は広い。
1回目の公募は30日に締め切り、その後の審査を経て採択案件が公表される。ただ、巨額の予算を講じる施策に対し、経産省側の思惑通りの業態転換などの応募が相次ぐのか、企業の本気度が問われる。1回目の採択結果次第では、2回目以降の募集内容が変わる可能性もある。実施途中の検証体制の構築を含め、効果的に施策を講じられるかも今後の焦点になる。
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日刊工業新聞2021年4月22日