この4年で商標登録出願が急増している理由は?

 平昌五輪のカーリング女子で銅メダルに輝いたロコ・ソラーレ北見の選手らによって、話題となった「そだねー」をめぐり、北海道の複数の法人が商標登録を出願し、特許庁が拒絶理由通知を送ったことは記憶に新しい。商標は自社の商品やサービスを他社と区別する目印といえるもので、適切な形でしっかりと出願することが求められる。

 わが国の商標登録出願件数は、2013年までは年間ほぼ11万件前後で推移した。しかし、14年に12万4442件に、その後、年々増加し、17年には19万939件に達した。4年間で7万3264件増、年平均10数%の増加率となる。

 日本特許情報機構(JAPIO)の松井英生理事長は、「中小企業の商標出願が増えてきている。海外への展開も含めて、ブランドを育成・保護する動きが活発になってきている」という。

 商標の出願がこれだけ増加すると、特許庁の審査官をいっぺんに増員するわけにもいかないため、審査期間が長期化するおそれがある。そこで、特許庁は審査効率を向上させるため「商標における民間調査者の活用可能性実証事業」を計画。3年間のこのプロジェクトをJAPIOが受託した。

 JAPIOは、商標登録出願に必要な商標登録の要件と不登録事由に関する調査を行い、その結果を調査報告書にまとめる役割だ。弁理士有資格者で現在は弁理士の仕事をしていない人や企業の調査部にいた人など業務を担当する調査員を50人ほど募集した。現在、教育を行っており、特許庁が認めた調査員を8月に正式採用して、特許庁からの受託実務に着手する。

 商標登録出願件数は、各国とも増加傾向にある。特に、中国は10年に100万件を超え、17年には575万件に達した。米国の17年の出願件数は59万件で、中国の件数の多さが目立つ。ブランド戦略が企業成長に欠かせない時代となり、日本でもこのところの増加傾向に拍車がかかりそうだ。JAPIOの受託作業が円滑に進むことを期待したい。

日刊工業新聞2019年7月5日社説

  

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