ルネサス火災、銅メッキは代替機でしのぐ。再開目標を死守
ルネサスエレクトロニクスは火災による生産停止中の那珂工場(茨城県ひたちなか市)300ミリメートルウエハーラインで、もっとも調達の難航している配線用銅メッキ装置について代替生産に乗り出す。被災した同装置4台のうち2台の納期が6月以降になるもよう。他の装置で一時的に代替し、当初の生産・出荷復旧計画を堅持する方針。自動車など主要顧客の間でくすぶる半導体供給不安を払拭(ふっしょく)すべく、主力ラインの復旧を急ぐ。
ルネサスは3月30日の説明会で火災の影響で新たに調達の必要な製造装置が計23台あると公表していた。そのうち2台の銅メッキ装置の調達時期は最も遅い6月以降とされ、納期短縮に努力したが、現在も状況に変更はないとみられる。
調達が遅れる2台の担う銅メッキ作業は同じく新たに調達する装置や既存装置で代替して、当該装置の空白期間を一時的にしのぐ方針だ。ただ、代替する装置への負荷が増えて、生産効率が落ちる可能性がある。火災前の水準に戻す生産・出荷復旧計画全体への影響が懸念される。
ルネサスは3月19日の火災発生から1カ月以内の生産再開を目指している。その後は火災から100日程度で火災前の製品出荷水準への回復を計画しており、復旧スケジュールは装置調達の進ちょく次第と言われてきた。
ルネサスは9日に同ラインのクリーンルームの運転を再開した。取引先や製造装置メーカー、部材メーカー、建設会社から1日当たり最大約1600人が現地入りし、復旧作業にあたったという。そして、クリーンルーム内の床や床下、壁、天井を清掃したほか、天井のエアフィルターも交換し、部屋全体の除染を終えた。
ルネサスの火災事故は、20年末から続く世界的な半導体不足に拍車をかけた。自動車メーカーは現在も世界各地で車減産を強いられており、半導体の安定調達は日米欧中心に喫緊の課題となっている。16日予定の日米首脳会談でも主要な議題になる見通しだ。