住友重機械が大学や研究機関に協働ロボットを導入する狙い

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住友重機械工業が販売する協働ロボット「ソーヤー」。若い研究者に広め、ファン拡大につなげる

住友重機械工業が協働ロボット「Sawyer(ソーヤー)」のブランド価値向上に乗り出している。製造現場などでの商用展開だけでなく、企業や大学の研究開発現場で使うためのロボットとしても訴求する。研究機関と連携し、農業や物流業、3品(食品・医薬品・化粧品)業界などに適したソフトウエアの開発を進める。3―5年後には同分野を中心に一定以上の知名度とシェアを取得したい考えだ。(川口拓洋)

金沢工業大学では4月からソーヤーを活用し、総菜のピッキング研究を開始。同大学では経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主催する「ワールド・ロボット・サミット(WRS)」出場を視野に入れる。

長崎総合科学大学は2018年から「トマト早摘み取り大会」でソーヤーを活用している。農業分野向けソフトウエアの開発を進める。東京大学も20年からディープラーニング(深層学習)の研究で同ロボットの活用を始めた。

住重では大学との連携により、若い研究者にソーヤーを広めるとともに、同ロボットの「ファン拡大」につなげたい考えがある。大学で研究したソフトを住重で活用することも視野に入れる。収益には直結しないが、中長期で協働ロボットの裾野を広げていく。

研究面で連携しているこれら3大学を含め、ソーヤーを導入している大学は10校に上る。同社メカトロニクス事業部営業部の池田弘志部長は「例えば30校で使ってもらえれば、今より10倍のアプリケーションを開発できる」と期待する。今後、高等専門学校や工業高校など大学以外の教育機関にも、ソーヤーの導入先を広げていく計画だ。

企業向けでは愛知県内の自動車関連企業を中心に、ソーヤーを200台導入済み。住重社内でも18年から半導体チップの電流・電圧試験でソーヤーを活用している。ロボットを使い夜間に検査工程を済ませておくことで、作業全体の効率化を実現している。

協働ロボット市場では可搬質量4キロ―10キログラムの製品が多い。同領域は競争が激しく、低価格を売りにした中国メーカーや韓国メーカーも多く参入している。

ソーヤーの企画・開発元は独リシンクロボティクスで、住重は日本での独占販売権を持つ。オープンソースのロボット開発環境(ROS)「インテラ」を活用することで、搭載されているソフト以外に、新たに開発したソフトでも動かせる仕様となっている。

住重は研究用と商用の2本柱でソーヤーを展開し、独自のポジション獲得を目指す。治具や搬送装置など協働ロボットと相性が良い製品群を持つ総合機械メーカーとして強みを生かし、今後はロボットシステムインテグレーター(SIer)の領域まで踏み込む構えだ。

日刊工業新聞2021年4月7日

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