大成建設が国内全支店に「柱溶接ロボット」導入へ
大成建設は現場作業を省力化するため、2022年度までに建設現場向け柱溶接ロボットを国内支店すべてに導入する。21年度中に8台に倍増し、順次増強する。独自の認定制度を活用し毎年20人程度のオペレーターも育成する。同社は作業員不足対策として、作業支援ロボットの導入を加速する。
柱溶接ロボット「T-iRobo Welding」は2017年秋に実用化した。6・5キログラムと軽量で足場の狭い場所や猛暑など作業環境の悪い現場、昼夜連続稼働でも高品質に施工でき、高い汎用性と低イニシャルコストが特徴。これまでの実施工では検査不良率が熟練工並みの1%程度で、特に板厚や柱の幅が大きいほど生産性向上の効果が高いことが実証されている。
建設現場の溶接作業は作業員の技量によって品質が左右されるため、同社がロボット施工で最も重視しているのがオペレーター育成。溶接技術の習得は通常半年から2年程度を要するが、同ロボットの操作技能の習得は1週間の短期カリキュラムで可能だという。
溶接作業の経験がほとんどない作業員でも、訓練後の立ち会い試験や第三者検査からなる同社のカリキュラムを受けることで、資格の取得が容易になっている。カリキュラムは、開発した同社技術センター(神奈川県戸塚区)で実施している。
同社のオペレーター資格制度は20年度にスタートし、これまでに関東や北信越、名古屋の3支店で8社16人が資格の認定を受けた。今後、国内の全支店で導入するため、ロボットの増強に合わせ、オペレーターの大幅な増員を図る。
建設業界では作業員不足対策や働き方改革を推進するため、各種建設ロボットの導入を急いでいる。
大成建設は完全自動化を目指すのではなく、匠(たくみ)の技術を生かしながら省力・省人化に向けた作業支援ロボットの開発を積極的に進めている。今回の柱溶接ロボットは協力会社(下請け工事業者)での定着が見込めることから全国展開を決めた。
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