Zoom日本法人の営業パーソンが小さな島のワーケーションで見つけた“真実”

連載・島根でワーケーションをしてみた #02

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Zoomの溝口さん

島根県松江市に属する大根島は、中海と呼ばれる湖に浮かぶ東西3.3km、南北2.2kmの小さな島。牡丹の苗木栽培と高麗人参の生産、四季折々の花が楽しめる「由志園」が有名だ。

大根島では、2018年開業のゲストハウスココリト(以下ココリト)で、3泊4日のワーケーションを行うことに。訪れたのは2月中旬で、緊急事態宣言中。他に利用者がおらず、広い施設を独り占めという状態だった。これを寂しいと感じるか、誰にも気兼ねせずに伸び伸びと過ごせると感じるかは「その人の心持ち次第ですね(笑)」とはオーナーの松本協一さん。松本さんは地域おこし協力隊員を経てココリトを開業し、人気のゲストハウスに成長させた。

私の場合は、寂しさと気楽さが半々か。しかし何事も楽しまないと損である。ブルーの濃淡のファブリック、木の温もりを感じられるスタイリッシュな室内で、大根島でのワーケーションをマイペースに堪能することに決めた。

たまっている原稿を黙々と執筆したり、キッチンで料理をしてみたり。気分転換にゲストハウスの周囲を散歩するもよし、島の中を自転車で周回するもよし。大根島はなだらかな平地が多いので、日頃運動不足の人であってもサイクリングは問題ないだろう。日本の歴史に精通する松本さんがガイドとなって、ちょっとマニアックな歴史のレクチャーを受けながらのユルいサイクリングが楽しい。島の中には大小さまざまな神社、ローカル信仰の拠点の寺、中海越しに見上げる通称出雲富士・大山(だいせん)の勇姿を眺めることもできる。

ちなみに、ワーケーションは“労働と休息のバランス”を普段より強く意識した方が、多分満足度が高い。意識しないと、遠い所に訪れたのに仕事ばかりしてしまった、反対に観光ばかりになってしまった、ということになりかねないからだ。

さて、歴史レクチャー付きサイクリングで息抜きをした後は、またワークに戻り、オンライン取材を行う。インタビューの相手は、ZVC Japan(Zoom日本法人)の営業パーソンである溝口康之さん。取材のツールはもちろんZoomだ。

彼は大都市圏で働くIT技術者を対象にした「ワーキングヘルスケアプログラムMATSUE」に参加し、会社のメンバー数人とココリトでワーケーションを実践した。Zoomでは、昨年の9月にオフィスを縮小し、自宅以外での仕事が可能なシステムにしているそう。溝口さんのココリトでのワーケーションのスケジュールは次の通りだ。

朝食後メンバー全員でヨガを行い、頭と体をスッキリ。その後仕事を始め、ワークスペースの前に広がる田んぼを時々見つめながら、いつもと変わらないタスクをこなす。夕食にはオーナーが作った美味しいご飯を食べ、お酒を呑み、仲間たちと語り合う時間がとても重要なひとときだったと語る。

ワークの前の朝ヨガ風景

「ここでは仲間たちと普段話さないような、立ち入った話ができたのが大きなポイントです。しかも帰りの時間を気にせずに、というのがいい(笑)。仲間としての絆が深まり、結果的にチームビルディングの一環にもなったと思います」とは納得だ。チームビルディングありきの企業合宿と違うのは、参加者が自ら進んで参加していること。

いつもと同じタスクをこなす

「合宿だといやいや参加することも少なくないですよね。そうすると参加中の愚痴が多くなるなど、あまりポジティブな気持ちになれないこともあります。でも、自ら『松江へ行きたい!』と手を上げてくれたメンバーと一緒に行けたのが良かったです」

また、松江市にあるスタートアップ「ワークアット」が手がけるストレス計測も溝口さんは体験した。Fitbitというウェアラブル端末を身につけ、滞在前後、滞在中の心拍数、皮膚温、睡眠スコアで睡眠の質などを計測し、ストレスが軽減しているか否かを数値化するというものだ。

「私の場合、ワーケーションをする前は唾液アミラーゼの値がとても高かった。アミラーゼは交感神経支配によって分泌が起こるので、ストレスを受けると値がとても高くなるのです。しかしココリト滞在中は数値が改善したようです。アミラーゼ、心拍数、睡眠スコアなどは自分でコントロールできるものではないので、リラックスしている感覚と数値がリンクしていたのが驚きでしたね。それ以降、普段の生活の睡眠の質を良くする、仕事の最中にも体を動かして外の空気を吸う、食事を大切にするといった、ごく当たり前なことを意識するようになりました」と続ける。

ココリトの共有スペース

無理がきく体質だと自分では思っていたけれど、そうではなかったことが判明したと言う溝口さん。そして「Zoomがあれば、日本全国、世界のどこにいても簡単にコミュニケーションができます。それはそれで便利で効率的ですが、時には相手とリアルな交わりを持つこと、人やチームの絆の大切さを学びました。そのためにはどんな働き方がいいのか、どんなことを改善しないといけないのかも考えるようになります。オフラインでもオンラインでも、どこで仕事をしてもいい。一人で集中してもいいし、仲間と会ってもいい。要するに自由に働き方を選べるようになるのが一番大切なのです」と語る。最先端技術に携わっているからこそ見えてきた“真実”だ。

ココリトのドミトリースペース

そして縁もゆかりもなかった松江とワーケーションを機に繋がることで、この土地でのために何かをしたくなる。アクションを起こしたくなるとも。こういう小さな動きがあちこちで起きたら。日本全体の繋がりが強化されるかもしれない。

訪れた土地を好きになり、深い関係性を持ち、リピーターになって何度も足を運ぶーー。それもまたワーケーションの醍醐味だろう。

(取材=ライター・東野りか)

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ワーケーション

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