独禁法適用除外の初事例、熊本バス5社の共同運営は試金石になる

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複数のバス会社のバスが連なる(熊本市役所前)

4月1日から熊本県で、地域の乗り合いバス事業者5社による3年間限定の共同経営がスタートする。国は厳しい経営環境に置かれている路線バス事業者を支援し地域交通網を維持するため、2020年11月に国土交通相の認可を受けた場合に独占禁止法の適用を除外する独占禁止法特例法を施行した。最初の適用例となるもので、人口減少で赤字経営に悩む各地のバス事業者にとっても試金石となる。

九州産交バス(熊本市西区)、産交バス(同)、熊本電気鉄道(熊本市中央区)、熊本バス(熊本市東区)、熊本都市バス(熊本市中央区)の5社が3月2日に「熊本地域乗り合いバス事業共同経営計画」を申請し、19日に認可された。

計画では複数の事業者が重複運行している4区間で運行主体や便数を調整することで効率化を図り、そこで生み出した運転手や車両の余剰リソースを熊本駅周辺の開発地域での延伸に充てる。重複区間の効率化により年間に約3100万円の収益改善を見込む。サービス維持に必要な人員は1日当たり5・6人、車両は同4・7台分軽減するが、利用者の利便水準や対象となる55系統のサービスは維持できるとしている。

多くの地方都市では路線バス事業は赤字で、存続に苦慮している。乗客が多いドル箱路線で各社が重複運行し、周辺路線では運送サービスが維持できなくなるような状態でも、これまでは独禁法により競争制限的な共同経営や経営統合は禁止されていた。このため、地域の生活や経済などを支える基盤的サービスの維持を目的とする範囲で、乗り合いバスと地方銀行の経営に関して独占禁止法の特例が設けられた。

日刊工業新聞2021年3月29日

COMMENT

志田義寧
北陸大
准教授兼ジャーナリスト

地方に住むようになって、バスの重要性を改めて実感しているが、同時に路線の多さも気になっている。こんなところまでバスが通っているのかと何度思ったことか。人口減少時代、もはや今のまちのサイズを維持することは不可能だ。共同経営により重複区間を効率化するだけでなく、会社の垣根を超えた路線の再編、まちづくりも同時に進めないと、いずれ行き詰まるだろう。交通網をうまくデザインすれば、コンパクトシティへの誘導も可能なはずだ。オンデマンドや自動運転、ライドシェアなどテクノロジーも積極的に活用しながら、持続可能なまちづくりを進めてほしい。

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