エンジン車が強いマツダ、大手サプライヤーの仕事は減るの?
ダイキョーニシカワ・内田成明社長に聞く
―2021年度の事業見通しは。
「20年夏以降から自動車メーカーの生産台数も戻り、第2、第3四半期は予定より増えたところもある。第3四半期も昨年比で良くはないが、まあまあの数字だった。ただ海外の新型コロナウイルスの影響を考えると、21年度は少し堅めの数字にならざるをえない」
―車の電動化が進んでもインストルメントパネル(インパネ)などの影響は少ないのでは。
「動力源が何になってもバンパーや内装部品は必要で、当社の仕事はなくならない。インパネ周りは通信が増えるとスイッチ類が煩雑になり、ニーズが変化する。電動化によりセンサー、スイッチなどは具体的な仕様の変化が起こるので研究開発、提案をしっかりやる」
―エンジンルームの樹脂部品の展開については。
「例えばオイルストレーナーは国内外の主要拠点で年間1000万個以上生産し、いろいろなメーカーに納めている。小さい部品なので多少費用をかけて運んでも勝負になる。他の部品で第2、第3のオイルストレーナーを狙うのもいい」
―樹脂インテークマニホールド(多岐管)など機能部品の電動化対応はいかがですか。
「最近では冷却用のパイプ需要がある。電池のほか電子デバイスも結構熱を持つ。電動化が進んでも車は必ず冷却が必要。パイプ類の樹脂化による軽量化は可能性がある。樹脂はデザインの自由度が高く売り込む。パイプ類は既に納入しており、知見も蓄えられる」
【記者の目】
材料開発と構造を一緒に考え部品を開発、生産できるのが強み。エンジンルームの機能部品を手がけてきた実績や知見は電動車向けの新たな部品需要の獲得に生かせるはず。エンジンルーム部品の樹脂化も拡大の余地がある。形状の自由度が高い特徴をいかし、樹脂化のニーズをとらえれば、着実に事業成長につなげられそうだ。
日刊工業新聞2021年3月22日