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49体のロボット稼働で年3600時間削減、女性中心にRPAを活用する横浜の中小企業

49体のロボット稼働で年3600時間削減、女性中心にRPAを活用する横浜の中小企業

プラント技術者とRPAに関するシナリオ作成の業務フローを確認する

スチールプランテック(横浜市港北区、灘信之社長、045・471・3911)は、2018年4月に主な部署で実務を担う女性社員を中心にワーキング・グループ(WG)を開設し、RPA(ソフトウエアロボットによる業務効率化)の全社展開に注力する。女性らは通称“ロボガール”と呼ぶ。活動は狙い通り広がりを見せ、21年3月時点で49体のロボットが稼働し、年間3600時間分の作業削減を実現した。

WGはIT部門のサポートも受けながらRPAを一から勉強し、不便、不足、不合理といった「不」の付く業務の洗い出しを実施。約60件の業務をリストアップしてRPA化の候補を絞り込み、それらについて業務プロセスの見える化と見直し・改善案を協議。RPA化する業務を最終選定してフローチャートをロボットに記憶させるシナリオも作成。18年度下期に14体のロボットを稼働した。

これまでに定期開催する会議で使う所定ファイルの作成と参加者へのメール配信、宅配業者からの請求書データと出荷データの照合・仕分け・確認後の経理送達、調達品の未発注防止のためのファイル作成と関係部署へのメール配信などをRPA化している。

WGでリーダー役を務める企画部経営企画室の桜井まゆさんは「週1回の活動が他部署の業務を理解する貴重な機会にもなっている。見直し・改善案の協議を通じ、何のために、誰のために必要な業務なのか改めて考え、無駄の排除につながったケースもある」と副次的効果を強調する。

灘社長はRPA導入の旗を振り、推進役の実務担当者と、それを利用している社員だけでなく、事務系社員には原則としてRPA活用による業務効率化を図らせる方針だ。同社の主力事業は製鉄プラントエンジニアリングで、RPAロボを「鐵子」と命名。イントラネットにポータルサイト「RPA鐵子の部屋」を開設し、その仕事ぶりを披露している。(横浜総局長・青柳一弘)

日刊工業新聞2021年3月24日

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