日銀が始めた地域金融機関支援に対する違和感の正体

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日銀は地銀など地域金融機関支援のための特別当座預金制度を始めた

日銀は1日、地方銀行など地域金融機関支援のための特別当座預金制度を始めた。経費削減や経営統合に取り組むことを条件に、日銀に預ける当座預金の金利を年0・1%上乗せする。2022年度までの3年間の時限措置。

地銀のほか、信用金庫、信用組合、労働金庫、農・漁協も中央機関経由で利用できる。経費削減は、OHR(経費率)を19年度実績比で一定以上引き下げることが条件。経営統合は、23年3月末までに合併や経営統合、連結子会社化を機関決定することが条件。

OHR改善の場合、日銀が各年度の条件達成を確認してから1年間金利を上乗せする。経営統合の場合、日銀が条件達成を確認してから3年間金利を上乗せする。

日刊工業新聞2021年3月2日

COMMENT

志田義寧
北陸大
准教授兼ジャーナリスト

地域金融機関の経営環境は厳しさを増しており、統合を通じて経営基盤の強化を図ることに異論はない。しかし、それを後押しする特別当座預金制度は事実上の補助金であり、その使い道を選挙で選ばれたわけでもない日銀が決めることには違和感を覚える。マイナス金利政策との整合性でも疑問が残る。日銀は3月18・19日開催の金融政策決定会合で現状の金融政策を点検する。仮にマイナス金利の深掘り余地を残すために、補助金に当たるような副作用対策を打ち出せば、表で穴を掘って裏で埋めるというマッチポンプ色がより強まる。それは長い目で見れば、政策に対する信認低下につながりかねない。今回は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みは議論しない予定だが、筆者は枠組みそのものを議論すべき時期に来ていると感じる。現状の政策を肯定するためのねじれた点検結果が出てこないことを期待したい。

キーワード
日銀 地域金融機関

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