日銀「金融緩和維持」決定も…ETF購入の無視できない副作用

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金融政策決定会合を終え、会見する黒田総裁(代表撮影)

日銀は21日は開いた金融政策決定会合で金融緩和策の維持を決めた。同日公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、2020年度の国内総生産(GDP)成長率予想をマイナス5・7―マイナス5・4%(中央値マイナス5・6%)とし、20年10月の前回公表から中央値を0・1ポイント引き下げた。新型コロナウイルスの再拡大で、対面型サービス消費を中心に1―3月に強い下押し圧力が続くと判断した。

日本の経済・物価の現状に関し、前回公表の「持ち直している」から「基調としては持ち直している」と、慎重な判断に改めた。対面サービス消費の弱さを反映させた。設備投資は、業種にバラつきはあるが「下げ止まっている」と分析した。

21年度のGDPは、3・3―4・0%(中央値3・9%)と見通す。前回から中央値を0・3ポイント引き上げた。国の国土強靱きょうじん化計画やコロナ禍を受けた医療体制の拡充など公的支出が下支えする。22年度は1・5―2・0%(同1・8%)で同0・2ポイントの改善とした。

金融政策決定会合では、2%の物価目標を目指し、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の現状維持を決めた。黒田東彦総裁は同日の会見で、3月に結果を公表する金融緩和政策の点検について、YCCの維持を前提に「資産買い入れなどの効果を点検し、改善すべきところがあれば改善する」と述べた。

日刊工業新聞2021年1月22日

COMMENT

志田義寧
北陸大
准教授兼ジャーナリスト

市場では3月の政策点検で上場投資信託(E T F)買入れの柔軟化を予想する声が目立つ。当然だろう。日銀のE T F購入が市場の安心感につながったのは間違いないが、市場の価格形成を歪める副作用も無視できない。残高を無駄に増やさないよう、本当に必要な時だけ買入れができる仕組みを導入する必要がある。また、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)で、現在ゼロ%程度に誘導している長期金利の変動幅拡大を容認するとの思惑も出ている。市場機能を取り戻すという観点から歓迎したい。市場機能が低下すれば、市場での資金調達や効率的な資金配分に影響が出てくる。それは長い目で見れば、経済の健全な発展を阻害する。政策効果を発揮させるという点でも市場機能は大切だ。仮にこうした措置を取った場合は、緩和の後退と受け止められないよう、コミュニケーションにも細心の注意を払う必要がある。

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