コロナ禍の飲食店を城南信金が“前のめり”支援、テイクアウト情報発信で地域をもり立てる

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2月24日の「お弁当販売会」の様子

新型コロナウイルスの感染拡大により経営が悪化する飲食店を助けるため、城南信用金庫(東京都品川区、川本恭治理事長、03・3493・8111)が、融資に留まらない「前のめり」な支援を続けている。テイクアウトを行う飲食店の情報を発信するウェブサイト「つながろうプロジェクト」は、都内信金に参加を呼びかけ規模を拡大。登録店舗数が1000件の大台を超えた。金融機関の枠を超えた支援で、アフターコロナの地域経済回復を目指している。(南東京支局長・鳥羽田継之)

完売が相次ぐ

「梅屋敷弁当2つ下さい」「ガパオライスひとつお願い」。4つのテーブルに並べられたお弁当が、みるみる数を減らしていく―。

「お弁当販売会」は12時をまたずに完売が続出

2月24日11時から、東京都心で開かれた城南信金の「お弁当販売会」は、昼休みの12時をまたずに完売が続出する盛況となった。参加したのは柳ばし(東京都大田区)、梅林(同)、羽田バル(同)、アヒリヤ(同品川区)の4店舗で、いずれも城南信金の取引先。緊急事態宣言を受けて各社の事業は苦戦を余儀なくされているが、瞬時の完売は気持ちの良い体験となった。梅林の小林寛正社長は事前取材で「緊急事態宣言が解除されても、来店客はすぐには戻らない。テイクアウト、デリバリーを伸ばしていかねばならない。商店街でキッチンカーを共同購入し、外販を拡大することも相談している」と語った。

城南信金は、来店客減少で苦しむ飲食店を支援するため、テイクアウト、デリバリーを行う飲食店を行うサイトを立ち上げた。ただ城南信金のホームページの一部であり、多数のアクセスは見込めない。そこで、サイトに直結するQRコードを記載したポスターやシールを大量に作成。城南信金の支店などに大量に頒布し掲示した。QRコードを使ったのは「支店に来られたお客さまや通りかかった人が気軽にスマートフォンでアクセスできる」(城南信金の川本理事長)ことを狙ったためだ。

同サイトは、店舗の情報を記載するのみで、実際の注文は店舗に来店するかサイト外で注文することが必要になる。「当初はサイト上で注文、決済を行う案もあったが、信用金庫の業法上の問題もあり実現に時間がかかってしまう。支援のスピードを重視し情報のみの提供とした」と川本理事長は語る。

当初は城南信金の営業エリアである東京都南部と神奈川県の店舗のみを載せていたが、川本理事長は東京都の信用金庫の業界団体である東京都信用金庫協会にかけあい、都内の他の信金にもテイクアウト情報サイトへの参加を呼びかけた。信用金庫は普段から横連携への意識が強く、足立成和信用金庫(東京都足立区)やさわやか信用金庫(同大田区)など17信金が参加を表明。信金による地域応援活動として新聞やテレビで取り上げられることも多くなり、報道を見た飲食店の申し込みが増加。2月28日現在1042件が登録している。サイトへのアクセス数も一時2万8000件以上と急増し、地図表示機能がパンク寸前となった。

川本理事長は「緊急事態宣言解除後も飲食店の利用が急回復するとは見込みにくい。テイクアウトの利用は今後も増えていくだろう。飲食店は、登録無料の本サイトを利用し売り上げ増に役立ててほしい」と呼びかけている。

記者の目

飲食店はGoToEatキャンペーンにより、2020年夏頃から年末にかけて業績が持ち直していたが、2度目の緊急事態宣言を受け、再び売り上げが減少している。金融機関には追加融資を依頼する声も届いているが、融資はいずれ返済しなくてはならず、コロナ後の経営の重しになる。キャッシュフローを支える支援はもちろん必要だが、本プロジェクトのように事業者の本業を支援する取り組みが必要性を増している。

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