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【新型コロナ】金融機関に来店客殺到、感染リスク懸念も

新型コロナウイルスの感染拡大で全国的に外出自粛の取り組みが進む中、通常営業する金融機関に来店客が集中している。企業による融資申し込みや、政府の支援策の問い合わせが増えているほか、「掃除をしていたら古い通帳が出てきた」「時間があるので定期預金を契約したい」など不要不急な来店も増加。金融機関の窓口職員は、感染のリスクにさらされつつ、神経質な業務運営を強いられている。(南東京支局長・鳥羽田継之)

東京都南部と神奈川県を地盤とする城南信用金庫は、4月7日の緊急事態宣言以降、2班体制で通常時の半分の人数で支店を営業する。中小企業が多い土地柄もあり、政府の支援策への問い合わせが急増。中には「社長が感染したので代わりに来た」と言う人や、マスクをしない来店客もおり、現場のストレスは日々高まっている。川本恭治理事長は「コロナ対応のため、やれることは何でもやりたいが、窓口の身体的、精神的疲弊は限界に近い。ステイホームの考えをご理解頂き、不要不急の来店をご遠慮頂けたら」と語る。

横浜銀行も中小企業の資金繰り相談が増加している。同社も交代制、昼休業を導入しており支店は全体的に混み合い、30分以上待つケースもある。1日から「新型コロナ資金繰り相談窓口」を神奈川県内7カ所に設置し、実質無利子融資の相談受け付けもスタートした。一層の混雑を回避するため、インターネットバンキングの利用手数料を無料にするなど工夫している。

店舗の混雑はメガバンクも同様だ。ゴールデンウイーク前には、各地の支店で、来店客が店外まで行列を作る姿が見られた。

全国銀行協会の三毛兼承会長は4月28日、金融機関の混雑を踏まえ「本当にお急ぎの取引か、ぜひお考えいただきたい」と呼びかけた。新型コロナの長期化で企業の苦境が深まり、政府・自治体の追加支援策が発表されれば、金融機関への相談は今後も増加しそう。企業の事業継続に必要な手続きを行うための来店者で“密”になりかねない情勢で、不要不急の来店自粛が一層求められる。

日刊工業新聞2020年5月12日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
今更ですが、来店者も金融機関側もネットの活用が求められているのでは。

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