ポリフェノールの「長寿遺伝子」酵素活性化、黒ウコン由来は赤ワインの約6倍!?
東京大学大学院農学生命科学研究科の永田宏次教授らは、黒ウコン由来のポリフェノールが、ブドウ果皮や赤ワインに含まれるポリフェノールよりも約6倍効果的に「長寿遺伝子」由来の酵素を活性化させることを見いだした。黒ウコン由来のポリフェノールが長寿遺伝子由来の酵素と結合すると、酵素と基質ペプチドとの親和性が約8倍に高まることを熱測定の実験で明らかにした。食による健康寿命の伸長に貢献すると期待される。
長寿遺伝子由来の酵素「SIRT1(サーチュイン1)」は、がんや老化関連の病気予防に関与する。ブドウ果皮などに含まれるレスベラトロールなどのポリフェノールがSIRT1を活性化するとの報告があった。だが、その作用の仕組みはよく分かっていなかった。
永田教授らは、SIRT1と基質ペプチドとの親和性を、二つの化合物の結合の強さを評価できる「等温滴定熱測定法」により、定量的に調べた。黒ウコン由来のポリフェノールの一種のポリメトキシフラボノイドがSIRT1と直接結合すると、基質ペプチドとの親和性を8・2倍に高めることを明らかにした。レスベラトロールの場合は1・4倍だった。
また、ポリメトキシフラボノイドが細胞膜を透過して、細胞内にあるSIRT1に直接作用し、活性化することも分かった。
常磐植物化学研究所(千葉県佐倉市)との共同研究。
日刊工業新聞2021年2月22日