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5G普及を急ぐドコモに問われる底力。海外の出遅れを巻き返せるか
NTTドコモが第5世代通信(5G)の普及を先導できるか、底力を問われる局面を迎えた。4日から開くオンラインイベント「ドコモオープンハウス2021」では、同社の5G関連技術や製品を多数紹介。研究開発や用途開拓の進展が見てとれる。ただ日本の情報通信産業は5Gで海外勢に後れをとってきた。ドコモは3日、5Gの海外展開の計画も公表したが、国際競争力強化に向けた一層の努力が求められる。(斎藤弘和)
■「オープンRAN」協創
ケーブルを、つまむだけで通信エリアを構築―。ドコモは1月に「世界で初めて」(同社)開発した5G向けのアンテナを、オープンハウスの事前内覧会で披露した。
5G以降で使われる高周波数帯の電波は直進性が強いため、障害物が多い状況などで通信を確保することが課題となる。ドコモが開発したアンテナは、電波を伝搬するケーブルである「誘電体導波路」の任意の箇所をつまめば周辺に通信エリアを構築できるため、基地局からの電波が届きにくい場所で有効に使えるとの期待がある。既に60ギガヘルツ帯(ギガは10億)での実証に成功しており、6Gでの活用も模索する。
ドコモは5Gの用途開拓の検討が着実に進んでいることも訴求する。例えば久留米工業大学と取り組んできた、車いす型の「パートナーモビリティ」を紹介。5Gを活用した高精細な映像伝送や遠隔操縦の仕組みを用いて、離れた場所にいるスタッフが手助けを行い、同モビリティに乗る人が介助者なしでも自由に移動できることを目指す。21年度に実証実験を行う計画だ。
ただドコモの多面的な努力にもかかわらず、日本は5G関連の国際競争で出遅れている。例えば基地局では、中国・華為技術(ファーウェイ)をはじめとする海外企業数社の存在感が大きい。
ドコモは海外の通信事業者と連携し、5Gなどの無線ネットワークのオープン化や高度化を目指して日本勢の商機拡大も図る「O―RANアライアンス」を推進してきた。ただこれは標準仕様の策定が主眼。機器の製造を含めた検証を進め、商用化につなげていく施策も別途必要になる。
そこでドコモは3日、富士通やNECなどの12社と「5GオープンRANエコシステム」の協創に合意した。通信事業者の要望に応じた最適なネットワークをパッケージ化して提供。22年度の商用化を見込む。
また、製造業などの法人向け5Gソリューションの海外展開を目指すコンソーシアム(共同事業体)の設立も決めた。まずはタイで22年度に商用提供を目指す。
ドコモの井伊基之社長は「グローバルベンダーの強みを融合させて多様な価値を生み出す」と決意を示す。今後はより強いリーダーシップが問われる。