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電動化で自動車向け軸受は変化の時、日本精工のバトンを託された市井次期社長

電動化で自動車向け軸受は変化の時、日本精工のバトンを託された市井次期社長

市井次期社長(右)と内山社長

日本精工は2日、市井明俊執行役専務(57)が4月1日付で社長に昇格する人事を内定したと発表した。内山俊弘社長(62)は代表権のない会長に就く。自動車は電動化が加速しており、売上高の約7割を占める同社の自動車向け軸受も変化の時を迎える。新製品投入や付加価値の創出を通じて成長を実現できるか、手腕が問われる。

同日オンライン会見した市井次期社長は「ナンバー1の品質と信頼を追求する」と意気込んだ。市井氏は主力の自動車向け軸受事業で手腕を発揮したほか、インドや欧州など海外事業にも携わった。内山社長は「新しいモノを理解するセンスに長けている」と評し、同社の成長を託した。15年に就任した内山社長は、17年度に売上高を1兆円に到達させるなど収益力を高めた。

【略歴】市井明俊氏 86年(昭61)早大商卒、同年日本精工入社。15年執行役、17年執行役常務、19年代表執行役専務。東京都出身。

■素顔/日本精工社長に就任する市井明俊(いちい・あきとし)氏 誠実さで“アウェー”攻略

欧州では顧客を日系メーカーから現地メーカーに広げた。インドでは成長の著しいマーケットで事業基盤を固めた。「早口なインドのお客さまに英語でついて行くのは大変だった」。そんな“アウェー”の地でも信条とする「飾らず、誠実な対応」を実践し顧客の心をつかんだ。「若い時からいろいろなチャレンジに携われた」のが財産だ。

1990年後半に3年ほど席を並べた内山俊弘社長は、市井明俊次期社長について「分析力・企画力・実行力はもちろんのこと、目標を諦めない執着心もある。新しい技術がどんどん出てくる時代にマッチした人材だ」と太鼓判を押す。

旅行好きだがコロナ禍のため自粛中。「近所を散歩して、新しい路地裏の発見を楽しんでいる」と話す。「先輩が100年築いてきたブランド力、社会の発展を軸受のように支えていく誇りと自信を次の世代につないでいきたい」と決意を語る。(川口拓洋)

日刊工業新聞2021年2月3日

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