ソフト主導で車両開発、トヨタが始動した新会社の行方

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トヨタが開発中の自動運転機能付き電気自動車「eパレット」

トヨタ自動車の次世代技術開発が、新たなステージに入った。1月に自動運転などの先端ソフトウエア開発を担う子会社やスマートシティー事業会社などを傘下に置く新会社「ウーブン・プラネット・ホールディングス(HD)」を始動した。トヨタ取締役も兼務するジェームス・カフナーウーブン・プラネットHD最高経営責任者(CEO)は「これまで培ってきたクルマ開発の強みにソフトウエアのパワーを加え、新しいモビリティーの価値を提供する」と強調。ソフト開発に強いIT企業など新興勢力との競合に万全の体制で臨む。(取材=名古屋編集委員・長塚崇寛)

トヨタは次世代技術のカギを握るソフト開発機能を再編し、1月に新会社を設立した。自動運転やコネクテッドカー(つながる車)、人工知能(AI)の開発力を高めるのが狙いで、これら新技術を実証する場となる「ウーブン・シティ」の開発も新会社が担う。

ウーブン・シティは20年末に閉鎖した東富士工場(静岡県裾野市)の跡地に建設する計画。カフナーCEOは23日の着工に向け準備を進めていることを明らかにし、「先端技術の開発はトヨタ内製ですべてをできるとは考えていない。協業先と一緒に取り組んでいきたい」と話した。

ウーブン・シティ担当でシニア・バイスプレジデントでトヨタの豊田章男社長の長男である大輔氏も「伝統的な自動車メーカーの枠を超えて、イノベーションを生み出す」と同事業への意気込みを語った。

ただ、次世代技術のすべてをトヨタグループで内製するには限界がある。ウーブン・プラネットHDの虫上広志最高執行責任者(COO)は「自動運転技術は、1社単独ではさばききれないほど大規模になっている」と指摘する。

このため投資子会社のウーブン・キャピタルが、10年間で運用総額8億ドル(約836億円)のファンドを設立。トヨタの持つ技術や製品とシナジーが期待できるベンチャー企業に投資し、「ソフトとハードの両方を持つポテンシャルを最大限に引き出す」構えだ。

トヨタがソフト開発機能を再編したのは、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に代表される産業構造の変化に機敏に対応するためだ。

足元でも電気自動車(EV)やソフト技術に明るい米テスラの台頭のほか、米アップルのEV事業参入も取りざたされている。

再編で意思決定を迅速化するとともに、社名からトヨタの冠をはずすことで外部との連携を推進。新たな競合と同じ土俵で勝負できる体制を整えていく。

日刊工業新聞2021年2月1日

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