小川社長に聞く、オフィス需要減少でエプソンのプリンター戦略は変わるのか

セイコーエプソン社長・小川恭範氏「インクジェット方式への置き換えは変えない」

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大容量インクタンクを搭載したインクジェットプリンター

―2021年の事業環境は。

「ワクチンの摂取が始まったとしても、コロナ禍が落ち着くのはかなり先になるだろう。在宅需要は、最初は一過性のものだと思っていたが、いまだに続いている。ただ、昨秋から東南アジアで物流が混乱しており、現在は思うようにプリンターやプロジェクターの供給ができてない。物流の混乱は、(2月11日からの)中国の旧正月シーズンまで続くという観測がある。しばらくこうした混乱が続くだろう。年度を通して考えると、20年度よりはよくなるはずだ」

―25年度までの長期ビジョン『エプソン25』の進捗(しんちょく)は。

「大きな方向感を変えるわけではないが、具体的な数値目標を見直す必要が出てきている。(同ビジョンの中期計画として)21年度までに売上高1兆2000億円にする目標を掲げたが、その達成は難しくなっている」

―コロナ禍でオフィス出社率が低下しています。プリンター事業ではエプソン25で「オフィスの需要に応える商品ラインアップの強化」を掲げていますが、逆風では。

「オフィスのセンターマシン(複合機)の需要が減っていることは間違いない。ただ、オフィス市場に占める当社のシェアはまだ非常に低く、(現在オフィス複合機・複写機市場で主流の)レーザー方式を(当社が得意とする)インクジェット方式に置き換えていく方向性は変えない」

「環境に対する意識が高まっている中で、インクジェットの方がレーザーよりも環境に優しいという点は強みになる。実際、その点に共感してくれる顧客もかなり増えている。インクジェットの強みが浸透すれば、オフィス市場が縮小していく中でも我々のポジションは上げていける」

―政府は、50年までの温室効果ガスの実質ゼロ目標を打ち出しました。

「当社が掲げる『環境ビジョン2050』は抽象的な言葉でまとめており、具体性を持った内容にする必要がある。当社も政府の目標に沿った取り組み、もしくはそれ以上のことをしていきたい」

*取材はオンラインで実施。写真は20年10月に撮影したものを使用

【記者の目/事業構造の転換カギ】

コロナ禍による在宅勤務の拡大で、エプソンの主力であるプリンター事業は追い風が吹く。ただ、在宅需要がいつまで続くのかは不透明。プロジェクターやウオッチなど事業環境の変化に苦しむ事業があるのも確かだ。両事業の構造改革を進めつつ、中長期で成長が期待できるロボットや商業・産業印刷事業をどこまで拡大できるのか。事業構造の転換が問われている。(張谷京子)

日刊工業新聞2020年1月28日

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